イタリア土着ブドウ列伝

 イタリアの代表的葡萄から超ローカルな土着葡萄まで、ご紹介していき
 ます。葡萄品種の特質を知ることによって、その土地の風景から、その
 生産者の思い、ワインの味わいの世界までもが見えるようになります。


  No.11  ヴェルメンティーノ  Vermentino

同義語: カルベッソ、カルベス、マルヴァジア・グロッサ、ヴェルランティン  フランスではmalvasia a' gros grains やmalvasia du Dourc として知られている。
歴史:アラゴン家統治時代、スペインよりコルシカを経由して、リグーリア、トスカーナ、そしてサルデーニャで耕作するため1390年にもたらされた品種で、特に海岸近くの産地に適している。
特徴:中位から大き目の葉、五角形の五列葉。葉の表面が無毛で暗緑色。
房は中ぐらいから大ぶりで、円筒型、時にピラミッド型。粒と粒の間は少し開いている。粒は中ぐらいで丸く規則的な形。皮は蝋粉が付着し、厚い。色は褐色がかった黄色かみ鳥が買った黄色。
樹勢: 良い
生産性:大量。一貫性がある   
成熟: 9月20〜30日ごろ
    
◎「ワイン用葡萄ガイド」(ジャンシス・ロビンソン著)からの抜粋

魅力的で香り高いブドウで、サルデーニャ島、リグーリア、コルシカ島の一部
そして次第に増えつつあるラングドック・ルーションを含む多くのアペラシオンに
許可されている品種である。

プロヴァンスの東部で長い間栽培されているロールと同一種であると考えられ
ている。

コルシカ島ではしばしばマルヴォワズィエ・ドゥ・コルスと呼ばれ、あるものはこの
品種はマルヴァジア系と関係があると信じている。

ヴェルメンティーノはコルシカ島でもっとも栽培されている白ブドウ品種で
(この島は本質的には赤ワインを生産する島であるが・・・)この島の白の
ACワインを支配している。1980年代の終わりにはコルシカ島でのこの品種の
作付け面積は、わずか400ヘクタールほどになっていた。

イタリアには、ヴェルメンティーノが4000ヘクタール近く栽培されており、主に、
サルデーニャ島とジェノア周辺のリグーリアのブドウ畑でも栽培されている。

サルデーニャ島では、高い酸を得るために意識的に早めに
収穫し、爽快な特徴のあるワインを造っている。ボディ、酸、そして芳香は折り紙
付きでバランスが取れている。

◎サルデーニャ州、リグーリア州、そしてトスカーナ州のヴェルメンティーノワイン。

※薄い緑が耕作地帯

※濃い緑が代表的
DOC

上から 

・チンクエ・テッレ(リグーリア)
・コッリ・ディ・ルーニ(リグーリア、トスカーナ)
・カンディア・ディ・コッリ・アプアーニ(トスカーナ)
・ボルゲリ(トスカーナ)
・ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ(サルデーニャ)



◎ヴィーテ・イタリア高岡的見解

ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラがDOCGに昇格したときに初めて
自覚したことがあります。


 「やっぱ酸だな・・・」と。


つまり、
太陽燦々と輝く南イタリアにあって酸をいかに保持するかがその
ワインの品格を決める
という事なんだと思います。

南イタリアの白ワインは概ね、どんよりどっしりとしたアルコール分を強い
酸の鈍いものか、あるいはそれを避けるために早めに収穫して醸造する
色の薄い、香りのあんまりない、苦味のあるワインか、いずれかでした。

その中でも僕は、このヴェルメンティーノ種、そしてナポリ近郊の
フィアノ種は、酸がきっちりと出る良質のワインになる潜在能力が断然アル!
と見ていました。

今、この二つのブドウ品種からできるワインが
DOCGに昇格したことで、あながち
自分の考えが間違ってなかったと自信を持つようになりました。


もちろん、いつも僕が述べているように、
DOC法はほとんどが政治の
世界ではないかと思われますが(^^;)、それでもワイン法的に昇格しよう
とする機運が生まれるという事は、それなりにワインの「エレガンス」を
獲得していると生産者たちが自負しているからではないかと思います。
(マーケティング的な戦略もあるでしょう。)


ロエロ・アルネイスしかりですね。

ランゲ・アルネイスに比べると、やはり酸がきっちりと感じられる造りです。
(ま、これも相対的な話なんですが・・・)

さてさて、このヴェルメンティーノ。

イタリアでは、大きく3つのワインで使用されているとインプットしてください。

1.サルデーニャ島のDOCG ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ
2.リグーリアの代表
DOCワイン  チンクエ・テッレ
3.トスカーナの海岸線で作られる
IGTに多い ヴェルメンティーノ

これらは上の地図でもわかるように地中海を挟んだ北イタリアの海岸線地区
です。スペインのアラゴンからもたらされたというのもうなずけます。

それぞれの特徴というと、これもまだまだしっかりと定義づけるのは難しい
のですが、ある程度、代表的生産者の傾向から申しますと・・・

1.ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ

  
ミネラル分が豊富、塩気、磯の香りすら感じさせる。酸がしっかりしている。
  アルコール分も申し分なくとてもストラクチャーのはっきりとしたボディーと
  なる。イタリア・ヴェルメンティーノのルーツと言っても良いのではないでしょうか。

2.チンクエ・テッレ

 この銘柄は、ボスコ種を中心にしてアルバローラ種とヴェルメンティーノ種が
 加えられるレベルなので、ヴェルメンティーノのワインとしては多少性格が
 異なります。

 
海辺の畑らしいミネラル感にきっちりとした酸味、香りもフローラルで繊細。
 ただ、アルコールの厚味にはかけるかな・・・キリッと辛口感が出ます。

 むしろ「シャッケトラ」というデザートワインが個性的で素晴らしいです。

3.トスカーナ海岸線

 代表的なのはボルゲリでしょう。10年ほど前にヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ
 の生産者カピケーラ社を訪問したときに

 「最近、ボルゲリの有名ワイナリーの連中がヴェルメンティーノの研究の
  ためにウチをたずねてきて、何本か実験用に持ち帰ったよ!」

 なんて言ってました。もちろん、それはアンティノーリ社でしょう。

 
海抜の低いボルゲリでは果実味が非常に高まります。イタリアでもトップレベルの
 スキルを持つメーカーがしのぎを削る地区ですから、ここのヴェルメンティーノは
 本当にバランスが優れてモダンです。



地中海を挟んでこの3つの地域で楽しめるヴェルメンティーノは本当に素敵な
ワインです。

いかにも「南イタリア」的な雰囲気の中で語られることが多いのですが
(僕もついついそういう風に解説しがちですが)実は北、南というカテゴ
ライズより「地中海的」という方が合っていると思います。


それが、コテコテの南ではなく、トスカーナやリグーリア、そして比較的北に
位置するサルデーニャ北部特有のブドウ品種であることが、造り手のメンタリティー
と風土に支えられてイタリアでも屈指の白ブドウになっている。

これからこのワインは真価が発揮されるだろうと思います。

まだまだ、これからです!!

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