味覚ラボラトリー

「秋刀魚の開き・・・ビール?赤ワイン?」


          

秋刀魚が美味い季節になってきた・・・・と言ってもダイエーには
年がら年中秋刀魚はある。

火曜、水曜の90円均一セールのときなどに合わせて、秋刀魚も
安くなる。

といっても以前の「青魚、安魚」というイメージは薄れてきた。
鰯などは、ほとんど毎日が品薄状態だ。

日本のペスカトーレたちが結構乱獲したんだろうね。

でも食ってきたのは他でもない僕達な訳で・・・食卓の風景が
少しずつ変わっていくのも僕達に少ながらず責任がある、と考えないと。

「安定供給」という時、海産物・農産物なのか工業製品なのかで
考え方が変わって来ると思うけど、どちらにしても資源。

これからの子孫のためにもちょっと我慢しながら秋刀魚や鰯を末永く
楽しんで行きたいですよネ!

心からそう思います。



ということで今日は秋刀魚の開き。脂の乗った奴をコンロで網焼きした
だけのいたってシンプルかつ味わい深い一品です。

よくテレビの宣伝などにピールと秋刀魚を上手そうにやっている光景が
出てくるけど、雰囲気だけに流されず「味覚ラボラトリー」で検証する必要が
あると思いました(笑)。

たまたま冷蔵庫に「サンタンティモ・ロッソ」が残っていたのでビールとともに
「秋刀魚の開きのグリル」の相性を見てみました。

下に「チーズとワインのセクシー相性学」で使用している、食べ物、飲み物
の相性のバランスを見るための表を初めて使ってます。

これは、僕がイタリアで勉強した「メルカディーニ法」を自分なりに解釈して
改良したものです。

まだまだ不完全ですが、味わいの強さのバランスはすぐに見て分かる
表です。


まずはビールから。

★秋刀魚の開きとアサヒスーパードライの味わい分析
食べ物
味わいの要素
秋刀魚の開き
(5点満点)
飲み物
味わいの要素
アサヒスーパードライ
(5点満点)
甘み
固形の食感
酸味
泡立ち
口の中の汁の量
脂っこさ
3,5 アルコール
タンニン
香り(青魚香、こげ臭) 4,5 香り(ホップ香、酵母臭、甘み、苦味) 3,5
味全体の強さ まろやかさ

味わい全体で秋刀魚の開きが強いことが分かるでしょう?

口の中で二つを合わせてみるとどうなるか。

気持ちイイ!! あ〜ん残念!!
香り:ビールの苦味と秋刀魚のこげ臭が上手く重なり合う。

味わい:秋刀魚の塩辛さがビールの甘み、味わい全体によって流され心地よさになる。

秋刀魚をしっかりペースト状になるまで咀嚼するとビールが良く浸透して泡と酸で秋刀魚の旨味、甘さがポッと膨らむ。スゲエ!!
ビールの酸と泡が秋刀魚の生臭さを
誘発する。

後味は秋刀魚のフレーヴァーの完全勝利!ビールはあっさりしたもの!






特に青魚系だけでなく動物臭全般にいえることだけど、ワインやビールの
酸味や泡によって強調されることが良くあります。

これを防ぐためには、料理ならソースなり、ワインならアルコール感や
フレーヴァーなどのヴォリューム感で生臭さを「隠す」必要があるでしょう。

例えば、秋刀魚の料理でもトマトソースやまたは醤油などをかけると
随分と臭みが隠されます。


 それにしてもCMで、七輪で焼く秋刀魚、モクモクと上がる煙・・・集まって
来る人・・・誰かがビールを冷えたビールを持ってくる・・・・・

ああ!!もうみんな目がぎらぎら輝いていますよね!
あの理由が良く分かりました。

やっぱ、煙のコゲ臭とビールの苦味臭がバッチリ合うからですよ。
皆、それをよく知ってるから「パブロフの犬」よろしく涎放出状態になる!

決して雰囲気だけじゃない!

口の中でも魚の甘みがビールの泡、酸によってよく膨らむし素晴らしい!!

でも、「味覚ラボラトリー」は飲み込んでも終わらないんですよね(笑)。
つまり、余韻でもちゃんとバランスを取って欲しい!

とすると、この余韻で二つの相性は崩れちゃう。

上の表で見ると、料理の脂っこさに対抗する飲み物のアルコール・タンニン分
がすごくアンバランスでしょ?

このあたりがしっかり結果に出ました。
秋刀魚の青魚臭がビールのホップ香がなくなってもずっと持続している。
これは、ちょっと減点ね(^^;)。

でも「秋刀魚とビール」・・・やっぱ結構いけるじゃん!という結果となりました。


次はサンタンティモ・ロッソ。
フルーティーさと熟成感、そして酸、タンニン、アルコール感のバランスの取れた
赤ワイン。

フルーツ感のくどさがないので、料理との相性にも幅ができるとっても
良いワインだと僕は思っています。

★秋刀魚の開きとサンタンティモ・ロッソの味わい分析
食べ物
味わいの要素
秋刀魚の開き
(5点満点)
飲み物
味わいの要素
サンタンティモ
(5点満点)
甘み
固形の食感
酸味
泡立ち
口の中の汁の量
脂っこさ
3,5 アルコール
タンニン
香り(青魚香、こげ臭) 4,5 香り(フルーツ香、スパイス、花、ミネラル)
味全体の強さ まろやかさ

気持ちイイ!! あ〜ん残念!!
香り:両者の香りが重なって膨らむ
意外にバッティングしない!お魚のこげ臭って赤ワインの香りに合うんですね!


味わい:秋刀魚の塩辛さがワインのまろやかさに合ってました!
ワインの複雑な香りに比べると秋刀魚はいかにもシンプル!強さのバランスは良いし、おこげの香りとも合うんだけど、質感の、特にエレガントさと言う意味じゃ、ワインがちょっとかわいそうだったかなぁ。

意外にもワインの引きが早いのね!だから生臭さは出ないけど、秋刀魚の青魚臭が長く残りました。



ここでもうひとつ納得したのは、全体の質感の問題です。

秋刀魚とビール、いかにもシンプルに合わせられそうですよね。

これが秋刀魚と熟成タイプの赤ワイン、となると味わいの強さでは
バランスが取れていても、質感がちょっとしっくり来なくなる。

このあたり、もし秋刀魚をエレガントな味わい、と感じる人が
いればその人にとっては質感もバランスが良い、ということに
なるかもしれないけど・・・・。

そういう人はほとんどいないはずです。



「エレガントさ」というのは相当に主観が入るので難しいですけど
結構重要な問題でもありますね。

例えば、吉野家の牛丼とシャトー・ラトゥールをあわせたらどうなるか。

王将の餃子とドンペリを合わせたらどうなるか・・・・。

とっても成金的な発想かもしれませんが、なぜ合わないかを表現
するためには実際にあわせてみる以外ありません(^^;)。



それでも、ワインの複雑さを理解できる人にとってはもし僕が

「秋刀魚の開きはボジョレー・ヌーボーと良く合う!」

といえば、すごく良く理解してくれるんじゃないでしょうか。



あ!ここで重要なことを忘れていました。

秋刀魚に大根おろしを加えることです!!(^^;)

これを加える事によって相性にどんな変化が生まれてくるか
興味津々でしょ?



あ!もひとつ忘れてました!

白ワインと合わせることです。

ワ〜イ! 楽しみが増えてきたぞ!!



この秋は秋刀魚をもっともっと楽しんでいきますから、また
「味覚ラボラトリー」で登場願いましょう!


つづく