自分磨きのワイン術 その1


1.「ワインとは何か」


ワオ〜!いきなり哲学的ですね・・・・。


しかし、設問が悪すぎました。

もう少し具体的な質問です。


「ワインの主人公をブドウにしましょうか?
         それとも、生産地全体の環境にしましょうか?」

これも大概、分かりにくいかな・・・・。


ならば、あなたの片手に持っているワインに訊いてみて下さい。
ワインに訊くというのは、あなたの感性に訊いてみる、ということに
他なりません。


でも、いきなりそんなこと言われてもわかりませんよね?

「ど素人の俺がわかるわけないじゃん!」って・・・。



その通りです。



ちょっと、最初にしてはいじわるすぎたかもしれません。

でも、この「ブドウこそワインの主人公」「生産地こそワインの
生みの親」的なワインのとらえ方は、実は世界のワインの大きな
流れをとらえる上でとっても大切です。

だって

「ブドウこそワインの主人公」と考えている人たちが作った
ワインには、かならずブドウ品種の名前がラベルに刻み込まれています。

「カベルネ・ソーヴィニョン」

「メルロー」

「シラー」

「ピノ・ノワール」

「シャルドネ」

などがそれです。

これらは主にニューワールド系(アメリカ、チリ、アルゼンチン
オーストラリア、ニュージーランドなど)の生産者が主流です。

それに反して

「生産地こそワインの生みの親」と考える人たちが作ったワインの
ラベルには生産地の名前が刻み込まれています。

 生産地というのは「ブドウ」「微気候」「畑」「畑の日当たり」
 「土質」「人間=醸造様式」などの全体を指すものです。
 

 「バローロ」

「バルバレスコ」

「ムルソー」

「シャンパーニュ」
 
「ブルゴーニュ」

なんかですね。


これらは主にフランスやイタリアなど旧大陸系の生産者が主流です。
ブドウ品種の名前よりも土地の名前が優先する。つまり、ここには
生産地の色んな要素全体でワインは造られると言う認識がはっきりと
伺えるのです。

でも、一般消費者、つまりあなたの側からみるとどうでしょう?

 「どっちもややこしいけど、ブドウだけ書いといてくれるほうが
  分かりやすいかな!」

という風になりませんか?

なりますよね!?

 だって、そのブドウの特徴さえ分かっていればある程度ボトルの中身
の質を予想できますから、便利なわけです。

 そう、ブドウって、その品種の特徴を顕著にワインに表現するフルーツ
なんです。


 それに反して、「生産地」という切り口で言うと色んな要素が、から
みすぎていて、どうも分かりづらい。

 だからワインの世界では、この「ブドウ」を前面に出していく傾向が
強まっています。フランスだって、イタリアだって、伝統国のプライド
を捨ててまで、「ブドウ品種名」をブランドにしようとしています。

 新しいカテゴリーに入るイタリアワインなどは、すべてこのブドウ
品種名を前面に出したネイミングが非常に多いです。

この動きはまさにワイン界における「グローバル化」を示していますね。

そう、どこのワインであろうと「カベルネ」であり「シャルドネ」であると・・・。



 いきなり、あなたに現在のワイン界の大きな流れを紹介したの
も、ワインテイスティングでの意識の持ち方でワインの捕らえ方が
大きく変わってくるからです。

これは、もちろんニューワールドが良いワイン、旧大陸のワインが
古い体質のワインというわけでは決してありません。

例えばワインを人間に置き換えてみたとして、ポップスター然とした
クールな人と、いかにも流行に疎そうなそれでいて気持ちをホッと
させてくれるような人では、あなたはどちらに好感を持ちますか?

人それぞれですよね。

海外に行くとしたら、ヨーロッパやアメリカしか行かない人もいれば
ひたすらアジアの国に足繁く通われる人もいます。

好みの問題です。

でも、もしその人と友人としてお付き合いするとしたら、外見など
ほとんど関係がないでしょう?

そう、大切なのは人間性です。


ワインも同様に考えてみてはどうでしょうか?

でも残念ながらワインには、人間性がありませんね(笑)。

でも、葡萄のお酒ですから、「果実味」を持っているはずです。


ワインは、「果汁から酢に至るまでの過程である」と大きく定義すると
ワインの持つ「果実味」=「フルーツ」の感じ方のバリエーションこそ
ワインのバリエーションであるという気がしてきます。


ワインをテイスティングするときは、まずこの「フルーツ」を感じら
れるかどうかに意識を集中してください!

これが感じられないと、良し悪しは別にして、少なくとも「現代的な」
ワインとはみなされません。

ワインの口当たりの良さ、エレガントさもこのフルーツを表現の仕方次第
で決まってきます。

 
 ワインのテイスティングに臨むにあたって、まず大切なのは「フルーツ」
を感じる、ということです。フルーティーじゃなければワインじゃない!!
とまで断言しても良いでしょう!!

 このフルーツの解釈の仕方や表現の仕方については、また次号から
詳しくお伝えしていきましょうね!!


 ん〜・・・・、ちょっと難しかったかな・・・・。



今一度、まとめて見ましょう。


1.ワインの世界的な潮流を見ると、「葡萄品種」を中心に造られた
  ニューワールド系のヴァラエタル・ワインと、「産地名」を前面に作られた
  旧大陸系のジェネリック・ワインとに分けることができます。

  ヴァラエタル・ワインの長所は、品種の個性さえ理解していれば
  味わいの大体の要素が予想しやすく消費者にとってのワイン選びに
  とても優しいことです。

  あえて、短所を言うと、どこのワインも同じような味わいに感じてしまう
  こと、でしょうか。

  これに対して旧大陸系の産地名を明記したワインの長所は・・・ん〜やっぱり
  その各地域にしかない味わいの個性をしっかりと持っているという点でしょうか。

  ただあまりにも夥しい数の産地がワインが存在しているので、分かりづらい。
  味わいの解説をつけてもらわないかぎり、初心者にはちょっと難しい。


2.ワインテイスティングをする上で、この新しい流れのニューワールド系のワインと
  旧大陸の伝統をその地盤としたワイン作りを標榜する旧大陸ワインの双方の
  良し悪しを見極める重要なポイントがワインの「フルーツ」になります。

  

  第一回目はまず、「ワインは葡萄のお酒。そこに果実=フルーツが感じられ
  なければワインではありません」とだけ言っておきましょう。



  このテイスティング講座は、ワインを巡る「フルーツ」の解釈の仕方を中心に
  あなたが、ハイセンスなテイスターになることを目的に綴っていきます。


  2004年7月