テイスティングセミナーレポート 

 2005年6月7日(火) 大阪 阪急グランドビル26F インポーター「稲葉」

 モリーゼ州のディ・マヨ・ノランテ社と
 プーリア州のレオーネ・デ・カストリス社



  双方のワイナリーとも、僕は訪れたことがありませんし、知っている
  ことも限られていました。

  ディ・マヨ・ノランテ社は、南イタリアでもっとも注目度の低い(!?)  
  モリーゼ州の生産者で、ワイン後進地区にあって孤軍奮闘の大活躍
  をする生産者といってもいいでしょう。

  日本でにわかに人気が出ているのはサッカーの中田選手のお気に入り
  のワインがこのディ・マヨ・ノランテ社のワインだというエピソードがある
  からでしょうか。

  レオーネ・デ・カストリス社はプーリア州でもっとも歴史の古い生産者で
  何と言っても「ファイヴ・ローゼス」というイタリアで初のロゼワインで有名な   
  生産者です。プーリア州の土着ブドウ、ネグロアマーロ種の潜在能力を
  高め、世界的に認められるワインに育て上げた功績もあるでしょう。


  テイスティングは、二つのグラスが並べられて、右側がレオーネさんの
  ワイン、左側がノランテさんのワインという形で、交互に解説が入るという
  スタイルでした。

   


  その前に必ずあるのは、両社の概略とポリシーについての言葉ですね。
  以下、彼らの言葉を抜粋します。


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  レオーネ・デ・カストリス社 

  
   当主 ピエルニコラさん  


  「デ・カストリス家は、1600年代にスペインから移住してきた家系でその頃
  からブドウ栽培に携わってきています。」

  「1925年にイタリアで初めてロゼワインのボトリングに着手しました。ヴィーノ
  ・スフーゾ(バルクワイン)が主流の地域にあっては、画期的なことです」


  「カバーしている生産地域は4つ。

   ロコロトンド(下の図で12番。ブリンディシの北の茶色区域)
   マンドゥーリア(19番、ターラントの南の肌色区域)
   サリチェ・サレンティーノ(23番、レッチェの北、薄柳色区域)
   コペルティーノ(6番、レッチェの北、紫色)

     
  

   「生産しているブドウ品種は、ネグロアマーロ種、プリミティーヴォ種などの
   土着ブドウをはじめ、シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニョンなどの国際品種も
   あります。

   年間総生産ボトルは、年間250万本。内訳は白ワインが10〜15%、ロゼが
   25%前後、残りが赤ワインです。」

   「新しい品種に関しては「垣根仕立て」で耕作しますが、ネグロアマーロや
   プリミティーヴォなど固有の品種はすべて「アルベレッロ・プリエーゼ」という
   垣根仕立てを採用しています。

   エノロゴ(醸造コンサルタント)は、4年前からジョヴァンニ・ディ・マストロ
   ジョヴァンニ氏が担当しています」


   ディ・マヨ・ノランテ社  

    当主アレッシオ・ディ・マヨ・ノランテさん

  「モリーゼ州は、イタリアで一番小さな州で半島の南東に位置しています。
   
   

  ワイナリーは私の先祖が代々受け継いできたものですが、そのワイン作りが
  質に転換して、発展したのは父の代からで、私の代でさらに強い情熱と共に
  ワインを造っています。  

  当社のポリシーは3つ。

  1.南イタリアの伝統を守り、南イタリアの古代品種を再評価すること。
    土着ブドウこそが南イタリアの豊かさであり宝です。よって、国際ブドウ
    でのワイン作りはしません。

    アルプスからシチリアまで国際ブドウが大成功を収めていますが、この現象は
    将来イタリアの固有の文化をなくしてしまうのではないかと危惧しています。

  2.コストパフォーマンスの高いワインをつくること。大げさに高いワインを
    つくる気は全くありません。ワインは、女性です。女性は多くの人から
    愛されるべきですから。

    適正価格を守ること。これは、私がワイン作りをしていくモチベーションであり
    私が生きていくためにとても大切なことであると考えています。

  3.有機栽培でのブドウ作りを向上させています。抗生剤等を使用しない
    より自然な方法でのブドウ栽培をすることによって、発酵が規則的になり
    できあがるワインの質も向上することを発見したからです。

  赤ワインのブドウとして耕作しているのは、モンテプルチャーノ種、アリアニコ種
  そしてサンジョヴェーゼ種です。

  白ブドウとしては、グレコ種、ファランギーナ種とモスカート種です。

  私どものワイン作りでもっとも難しく重要なことは、このブドウ品種の特性
  性格を守りながら新しいワインを造っていくことです。シンブドウシュ!!
  (と彼は日本語で発音しました・・・・場内は静寂の極みでした・・・・・^^;
   誰がこの日本語を教えたんでしょう・・・)

  歴史的に難しい問題があります。

  南イタリアの歴史は貧困と飢餓の歴史でもあります。伝統を守るといっても
  飢えをしのぎ栄養を取るだけの食生活をしていた時代のワインを造ることは
  できません。


  例えば、30年前の食生活と今のものでは全く違うものです。30年前に
  食されていたものも、飲まれていたワインももう飲まれることはありません。
  ですからその食生活の変化に対応したワイン作りがとても大切ということです。
  

  わが社の醸造家は、私の父的存在で人リッカルド・コタレッラ氏で、私は
  彼のことを「マーゴ=魔法使い」と呼んでいます。


  私がとても光栄に思っていることは、このイタリア最大のエノロゴはほとんどの
  ワイナリーでは畑にしかいないのです。彼は数あるワイナリーをコンサルティング
  していますが、おそらく醸造所の中にいることはほとんどない。

  参加者の皆さんがとても若いですね。これは本当に素晴らしいこと。日本での
  ワインの未来に希望が持てますネ!!



  テイスティングワイン 1

  レオーネ・デ・カストリス  
  

  ドンナ・リセッタ ブリュット スプマンテ ロゼ
  「スプマンテは、北イタリアの文化なのですが、我々の土地の潜在能力を
  証明するために是非造りたかったワインです。
またロゼにしたのはファイヴ・  
  ローゼスがわが社の象徴的ワインだからです。」

  「強調しておきたいのは、このワインが土着のブドウではなく、国際ブドウで
   造られているということです。ピノ・ネーロ50、シャルドネ30、ピノ・ビアンコ20を
   使用しています」

  プーリアのロゼワインに関するエピソード

  「ファイブ・ローゼスという当社のロゼワインは1943年に生まれました。
  これは、ロゼのボトリングされたワインとしたはイタリアで初めてのものです。

  この名前は当社の所有畑の一区画に「チンクエ・ローゼ=5つのバラ」という
  名前の畑があるからです。

  なぜそんな名前が付いたのかというと、当時のデ・カストリス家が5人兄弟
  であったからのようです。
 
  戦時中に私の祖父がアメリカ人将校と出会い、彼がアメリカにこのワインを
  輸入しようとしたことからこの名前が英語になったというわけです。」

(高岡のコメント)
  ワインは薄く明るいピンク。泡は「シャルマ・ルンゴ方式」だけにとっても細やかで
  数が多い。酸も綺麗で泡とのコラボがとても良い感じです。料理とあわせる範囲  
  もロゼなので広いし、とても適正価格だと思う。(因みに¥2625)



  ディ・マヨ・ノランテ
  サンジョヴェーゼ サン・ジョルジョ 2004


  「これは、イタリアだけではなく世界のレベルから見てもコストパフォーマンスの
  高いワインだともいます。これは、私だけが言っているのではなく、ワイン
  スペクテイター誌でも「コストパフォーマンスの高い世界ベスト100」に選ばれて
  います(そのうちイタリアワインが10あります)」

  「私はワインの「飲みやすさ」をとても大切にしています。ワインは抜栓したら
   残さずに飲んで欲しいものですし、かといって重すぎるものも好みません」

  「このワインは料理とあわす範囲も広いですし、少し冷やせば軽い料理にも
  とても合うと思います」

  「一日中飲めるワインであり、毎日飲めるワインです。アメリカで私はジョークと
   して『これはブレックファースト用のワインですよ』って言ったのですが、彼らは  
   本当に朝からこのワインを飲みたがりました(笑)」

(高岡のコメント) 
  濃いルビー。濃縮感もある。まさにコタレッラスタイル。甘くてほろ苦い樽香が
  上手くワインの果実味に混ざっている。良い悪い、好き嫌いは別にして
  コストパフォーマンスのあるイタリア赤ワインでは最高のレベルでしょう。



  レオーネ・デ・カストリス
  サリチェ・サレンティーノ・リセルヴァ 2002

  
  「ネグロアマーロ90、マルヴァジア・ネーラ10のワインです。このサリチェ・サレ
   ンティーノは当社の歴史とともに歩んできたワインで、1954年からリリース
   されているワインです。

  1970年代の初頭にDOCを獲得したのも我々のがんばりがあったからこそで
  その後に多くの生産者がこのDOCワインを手がけ始めています。

  ネグロアマーロはラテン語で「色の濃い」ことを意味しています。

  このブドウ品種はプリミティーヴォに比べると知名度が低いのですが、それは
  ごくわずかな生産者だけが「ネグロアマーロ」という名前をラベルに掲げている
  からです。

(高岡のコメント)
  まだ若いので全体像のまとまりとしてはもう少し待ちたいと思うのですが、この
  酸とタンニンは素晴らしすぎます!南の野暮ったさが微塵もありません。素敵
  です。



  ディ・マヨ・ノランテ
  ラミテッロ・ロッソ  2001


  「このワインの名前は、当社のあるゾーンの名前であり、このワインの生産  
  地域と同名です。

  このワインで私が表現したかったのは、このゾーンのブドウの最良の特質に
  ハーモニーとエレガンスを加えた味わいです。モンテプルチャーノ種とアリアニコ
  種のブレンドですが、おそらく、その性格は当社のワインの中でもっともインター
  ナショナルな味わいといって良いでしょう。


  
これはインターナショナルな味わいといえますが、同時に私の家族の『匂い』
  も持ち合わせたワインです。


  今飲んでもとても美味しいワインですし、10年〜20年後までの保存できる
  ワインであると自負しています。

  ロバート・パーカーは2011年〜2012年ぐらいが飲み頃と評価しています。

(高岡のコメント)
  コタレッラモード全開ですな。黒砂糖的な香り、余韻にキャラメル香。ん〜〜
  辛口なのにこの甘みの香り、余韻は凄いです。液体のなめらかさにも感激。


 
  レオーネ・デ・カストリス
   プリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリア サンテーラ 2003

  「サンテーラ地区のプリミティーヴォを100%使用したワインです。

  品種の名前が「早い」という意味合いがあって、これは収穫時期が
  9月の前半という非常に早い時期に行われるからです。

  先ほどのネグロアマーロはプリミティーヴォよりも遅い9月の下旬が
  収穫時期になります。

  プリミティーヴォがカリフォルニアのジンファンデルの原種であるという説が
  ありましたが、今では全く違うブドウ品種であることが証明されています。


  生産ゾーンも品質も全く違うものですから、当然といえば当然です。

(高岡のコメント)
  色が濃くて、香りがとてもミネラリー、味わいにも塩気が充分にあって
  それがこのブドウのワインにしてはしっかりとしたストラクチャーを更に
  強固なものにしている。


  ディ・マヨ・ノランテ
   アリアニコ コンタード  2001


  「アリアニコ種100%のワインです。アリアニコ種は南イタリアでもっとも
  すぐれたブドウ品種の一つで、イタリアでは「南のバローロ」と呼ばれています。

  クローンセレクションを入念に行っていて、品質はとても高いです。すでに
  ガンベロロッソ誌でトレビッキエーリを獲得していますが、私の考えではこのワイン
  は、イタリアでもっとも安いトレビッキエーリワインです。

  良いワインであればあるほど、コストパフォーマンスが高くなければならない  
  という私のワイン哲学に見合う
ものです。

  クローンセレクションについて補足しますと、例えばシャルドネやカベルネを
  新しく植える場合だいたい100前後のクローンの中からセレクトすることになる
  のですが、アリアニコの場合、私たちは私たちの畑でセレクトしていますので
  2,3ほどの厳選されたものになります。

  これは、未来においてのイタリア醸造界での南イタリアの躍進を意味しています。

  良いワインは良いブドウからしかできません。こういう観点はいままでの南イタリア
   では存在しませんでした。近代醸造という意味では南イタリアはまだ
  「処女」ということができるでしょう。」

(高岡のコメント)
  すいません。書くのを忘れたのと、内容も忘れちゃいました(^^;)



  レオーネ・で・カストリス
  サリチェ・サレンティーノ ドンナ・リーサ・ロッソ・リセルヴァ  1999


  祖母の名前を取ったワインです。

  非常に古い畑からのブドウが含まれていて、もっとも古いもので70年の樹齢の
  ものもあります。すべてアルベレッロ・プリエーゼという仕立てです。

  すべてフレンチオークの小樽で熟成したもので、1/3が新樽、1/3が1年もの
  1/3が2年ものを使用したワインです。

  ガンベロロッソ誌、ソムリエ協会の2000ヴィーニ、ルーカ・マローニなどでも
  高い評価を得ています。

  北のワインの価格が高騰している今、このワインのコストパフォーマンス
  は高く評価され、北のワインに競合できると考えています。

(高岡のコメント)
  スパイスの香りがいいですね。黒コショウ、ドライの粉末山椒、アルコールの柔らか
  さがあって、それでいて、酸やタンニンがきっちりあってミネラリーで、ボディー
  全体がしっかりと引き締まってる印象です。



  ディ・マヨ・ノランテ
    ドン・ルイジ  2001


  このワインを、私は父に、そして同時に息子に捧げています。

  息子の場合にはちょっと可笑しなエピソードがあります。

  「このワインの畑は代々耕作されてきた古い畑なのですが、コタレッラと相談して
  99年ヴィンテージから単一畑のワインとしてリリースすることに決めました。

  その時期に私の妻は妊娠しておりました。産婦人科の方で男か女かを聞いた
  ところ、男と言われました。『ホントですか?sicuro?sicuro?』と念を押すと産婦人
  科医が『絶対男だ!ma sicurissimo!!ついてるものもついてる!』 と言われた
  んですが・・・

  産まれてきたのは娘のマリア・アンナでした(場内爆笑)

  その後息子のルイージは2001年に生まれてきました。

  
  それはさておき、このワインは飲みやすさを兼ね備えた偉大なワインだと自負して
  います。

  ロバート・パーカーによると2016年ごろが飲み頃だそうです。

  私にとっては今でも充分美味しいものですが・・・・、何はともあれ、このワインは
  南イタリアの現在の最高の到達点を示していると考えます。

(高岡のコメント)
  プレーンじゃなくて、砂糖入りのヨーグルトの香りが全体を占めています(^^;)
  時間とともにブラック・カラント、黒イチゴ、樫・・・味わいの柔らかさはすんばらし!
  酸と塩気がしっかりあるものの、全体が甘みのヴェールで包まれる。余韻は
  黒砂糖、キャラメル、チョコレート・・・・・コタレッラのワインですねぇ・・・。


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  お二人は非常に対照的な雰囲気をお持ちでした。

  やはり、レオーネ・デ・カストリス氏はコンテ(伯爵家)でもあるので、少々寡黙と
  いうか、会社概要、ワイン説明を淡々と進められる感じで、一方、ディ・マヨ・ノランテ
  氏は、南イタリアの情熱あふれるヴィニャイオーロ(葡萄耕作人)という
  雰囲気でした。

  その人が畑で汗を流している人なのか、それとももっと違う次元の人なのかで
  同じ醸造家で持っている雰囲気が圧倒的に変わります。


  
こういう大きなテイスティングセミナーなので立ち入ったことがお聞きできなかったの
  が残念でしたが、同じ南という土壌の中で全く違った経緯をたどってきたワイナリー
  で、双方が双方独自の路線で今の地位を築き上げてきた歴史が分かってとても  
  良かったですし、またそのワインの性格にも彼らの佇まいが色濃く反映されて
  いることを確信しました。

  結果として、レオーネ・デ・カストリスのワインは、個人的に大きな期待がなかった
  だけに(^^;)そのエレガントさに感動しましたし、かつてのレオーネ・デ・カストリス
  とは違った、ワンランク質を底上げして、最上のワインのエレガントさに磨きを
  かけた印象を受けました。おそらく、就任以来4年という新しいエノロゴの”仕業”に
  違いありません。

  また、マヨ・ノランテの方は、コタレッラという名前が良くも悪くも僕にとっては
  少々耳障りで、その部分をできるかぎり排除しても、やはり葡萄の潜在能力は
  計り知れないものがあるのではないかという気がしました。

  これからブドウが老齢化していき、ワインにとって、また樽熟成にとって円熟した
  持ち味を発揮してくれば、はっきり言って、バカウマワインの総合商社になり兼ねん!
  アレッシオさん、ホントのホントに価格上げないでね!と祈るばかりだ。

  インポーターの『稲葉』はそのパンフレットにいつも『ワインへの情熱は誰にも
  負けない』というコピーを入れておられます。コレは本当にマーケティング的にも
  素晴らしいことですし、かつ、誠実にそれを実行されているところがとても共感で
  きます。

  お土産の白ワインもありがとう!!(^^;)

  ということで、とても楽しい時間を過ごさせていただきました。稲葉さんありがとう!

  そして、アレッシオさん、ピエルニコラさん、イタリアでお会いしましょう!!


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