![]() テイスティングセミナーレポート 2005年6月16日(木) 大阪 ヘンリーグランデ インポーター「日欧商事」 サルデーニャ州のカピケーラ社と トスカーナ州のカペッツァーナ社 ![]() カペッツァーナ社のアグリトゥリズモ カルミニャーノDOCGの象徴的ワイナリー「カペッツァーナ」⇒コチラ ヴェルメンティーノ種のリーディングワイナリー「カピケーラ」 緑部分がヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ地区ヴェルメンティーノ種の潜在能力を引き出し、現在の地位に引き上げた ワイナリーはカピケーラ社と言って良いと思う。 実は僕は95年の夏に サルデーニャのとあるリストランテでソムリエ 修行をしておりました。 当然、現地のヴェルメンティーノをたくさんテイスティングできたわけですが 質的にもっとも充実していたのがカピケーラ社だったので、レストランの オーナーにお願いしてワイナリー訪問をさせていただき、その模様を日本の とあるワイン雑誌に寄稿したことがあります。 そういう意味でも僕にとっては思い入れのあるワイナリーです。 そのカピケーラ社ですが、実はヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラの DOCG昇格に大きく貢献したにも関らず、自らDOCGを名乗らなくなって しまったということ。 ヴェルメンティーノ以外のブドウ品種が「ブレンド」されることを認可した DOCG規格に疑問を呈する、というのがその狙いのようです。 つまり、彼らはサルデーニャ島特有の土壌、ブドウ品種、風土というものを 信じている。自らの純粋なポテンシャルだけを信じてワイン作りに情熱を 傾けている・・・・そんな姿勢をマーケティング担当のアルベルトさんの言葉 から感じました。 ←レクチャーするアルベルトさんワイナリーがヴェルメンティーノを植えたのが1970年代。 非常に新しいワイナリーなのですが、そのワイナリーの区画内から4000年前の 遺跡が見つかっているそうです。 その遺跡は「神話上の”アトランティス”は実はサルデーニャ島であったことを 立証できるもので、中でも石造りの小屋は、ワイン作りをしていた場所であった と推察されています」 ワイナリーの「カピケーラ」も、ラテン語で「キャピタルであった」という意味だそうです。 カピケーラのサイトはコチラ(伊・英語)カピケーラのワインのラベルはCAPICHERAのロゴの上に 遺跡、下にブドウ畑を配したとてもシャープなかっこいいエティケッタです。 たしか、カリフォルニアかどっかのワインに同じタイプのエティケッタありましたね。 アルベルトさんが言葉の節々に強調されいたのは以下の点です。 「国際品種に助けを求めない」 サルデーニャのブドウとテロワールがワインの質をおのずともたらしてくれる・・・ そういうスタンスがDOCGからの脱退というストーリーを生んでいるのでしょう。 ヴェルメンティーノは、サルデーニャにはコルシカ経由で18世紀にもたらされた ブドウで現在イタリアでは、リグーリアでもトスカーナでも栽培されています。 アルベルトさんによると、サルデーニャ島ガッルーラ地域の花崗岩土壌がもっとも ミネラル感をワインに与えるのでエレガントに仕上がる、ということでした。 --------------------------------------------------------------- ◎CAPICHERA CLASSICO 2003 カピケーラ・クラッシコ この「カピケーラ・クラッシコ」というネーミングが、良し悪しは別にしてワイナリーの 哲学、誇りを感じさせますね。 さて、味わいですが、香りの優美さが素晴らしいです。 トロピカルフルーツと非常に良いバランスでゆりやアカシアの花の香りが 絢爛と出ています。これだけ優美な香りは南イタリアではあまり考えられません! 甘みがしっかりとあります。 数年前にテイスティングしたときは、この甘みが鼻につきました。そのうえ酸が 鈍いところもイマイチだったのですが、ヴィンテージの違いもあるでしょうか 酸がしっかりと全体の「重み」を支えています。 綺麗な酸が余韻までしっかりと持続して、だからこそ甘みの凝縮感がとても 心地良く感じられ、また全体の構成がコンパクトにまとまった印象があります。 アルベルトさん曰く「イタリアのモンラッシェと呼ばれています」 いや、多分笑い事ではない。モンラッシェと言われても遜色のない質感と 個性がしっかりと感じられます。 正直、驚きました!随分久しぶりに飲んだんですが、 数年前よりぜ〜んぜん!すごく良くなってる!! -------------------------------------------------------------- ◎VENDEMMIA TARDIVA 2003 ヴェンデンミア・タルディーヴァ 強い黄金色。 香りはナッツ。木材。パイン系果実。 メロン、アカシア、ゆり、ハチミツのニュアンス。 まだバリック香がこなれきっていない印象。 味わいは、しかりと実のつまった果実!! 酸の線がきっちりと背骨を構成している。 余韻にバター、クリーミーな香り。 ヴェンデンミア・タルディーヴァ2001---------------------------------------------------------------- ◎ASSAJE 2002 アッサイエ 100%ステンレスのカリニャーノ100%。 紫色のしっかりと出たルビー色 フローラル。それもドライな香り。 酸がとても綺麗。タンニンは強烈でまだ若く浮いている印象だが 全体の構成はとても美味く出来ている。 スタイル的にはとても新しいものだが、これ見よがしのワインが多い中 「テロワール」をしっかりと見つめて、色を出しすぎず、味わいを進めて いくうちに深みに到達していくそのワインの風格に感動!! アッサイエ 1999-------------------------------------------------------------- ◎MANTENGHIA 2000 マンテンギア バリック熟成100% 15ヶ月熟成のカリニャーノ。 ほどほどに凝縮したルビー色。紫とオレンジの反射。 レザー。ブラック・カラント、ブルーベリー。クリームチーズ。 ミネラル豊富で塩気がとても強い。綺麗な酸が素晴らしい! また余韻が秀逸!凝縮した複雑な果実味とスパイシーさが綺麗に長く 持続する。 ------------------------------------------------------------- 全体的に価格を見ると結構、びっくりするような値段になってます(^^;) でも、特にカピケーラ・クラッシコとアッサイエに関しては、一度試してみる事を 是非オススメしたいワインですね。サルデーニャのリーディングワイナリーの 実力・・・それも、肩肘を張ったようなスノッブさのない、風土・ブドウ・人間の 共生の賜物のエッセンスとも言うべき作品だと僕は思いました。 カルミニャーノDOCGの象徴的ワイナリー「カペッツァーナ」 イタリア料理ブームのひとつの火付け役になった「トスカーナの優雅な食卓」と いう本をご存知でしょうか?ヒッピー世代の著者が優雅で哀愁漂うトスカーナ 像を表現しています。 実はその本の舞台になっているのがフィレンツェの北西カルミニャーノ地区、 カペッツァーナ社のあるボナコッシ伯爵家です。 カペッツァーナ社のサイトはコチラ 今回来日されたベアトリーチェさんに伺いましたが、敷地内にはワイナリーは もちろんアグリトゥリズモもあり、料理教室も頻繁に行われているとのこと。 以前、マスター・オブ・ワインの講習会もこちらで英語で行われていたという 記憶もあります。 なんせ、伯爵家ですから、その豪奢な邸宅や規模の大きさも想像をはるかに しのぐものなんだろうな、と思います。 さて、今回このセミナーにお邪魔したあったのはこのワイナリーの「シャルドネ」 について聞きたい事があったからです。 以前「チーズとワインのセクシー相性学」で扱った際に異様に酸化香を放って いたので奇妙に思っていたのです。⇒ その時の日記にも記しています。 2002年のヴィンテージだからそうなっちゃったのか、あるいは保存状態や 輸送環境でそうなってしまったのか、そのあたりに探りを入れてみました。 ベアトリーチェさん、曰く。 「明らかにヴィンテージのせいです。2002年は本当に難しい年で、我々の いくつかのワインは瓶詰めを断念したくらいです。暑すぎて、酸が弱くなって その結果、酸化香がでることになったのだと思います。 でもその他のヴィンテージなら全く問題ないはずです!」 このように断言されていました。 やはり、ヴィンテージによるワインの出来って、瓶熟成させればさせるほど 如実に出るってことですよね。 事実、カペッツァーナ社は、2002年は、一番ベースのバルコ・レアーレとこの 白のシャルドネしか生産しなかったそうです。 サルデーニャのカピケーラ社も同様で、2002年はカピケーラ・クラッシコと アッサイエだけの生産・・・・・やはりプライドの高いワイナリーはヴィンテージに 合わないワイン、つまり高いレベルのワインは生産しないのが常ですね。 ◎カペッツァーナ社の歴史 カペッツァーナの名前はローマ時代、シーザー時代の軍人カピトゥス(Capitus)に 由来するそうです。 「カペッツァーナ」の名前が最初に登場するのは、804年で当時交わされた 賃貸契約書の中だそうです。当時からワインとオリーブの製造に関することにも 触れられています。 1396年の公文書には初めて「カペッツァーナのワイン」という表現が登場します。 メディチ家の時代がもっとも重要な時代で、トスカーナ大公が狩りのため、また ヴァカンスのためにカペッツァーナをよく利用していたとのこと。 そのトスカーナ大公、コジモ3世が1716年に4つのワインにDOCを初めて 認定しています。その一つがカルミニャーノです。 当時すでのカテリーナ・デ・メディチの嫁入りによってフランスとのパイプを持って いたメディチは料理人をフランスに輸出し、ボルドーワインを輸入したと言われて います。 この時点で、すでにボルドーのカベルネとカルミニャーノのサンジョヴェーゼが ブレンドされていたという記録も残っています。 「スーパータスカン」の原型がここにあるわけですね。 1930年代にカルミニャーノは一時キャンティに吸収されてしまうのですが カペッツァーナが伝統を守り抜いたお陰で、1975年にDOC取得、そして1990年 にDOCG昇格を成し遂げます。 ◎カルミニャーノについて 中央上の小さな薄緑色部分がカルミニャーノカルミニャーノは名前こそトスカーナを代表するものですが、その規模は驚く ほど小さいのです。 面積は、 ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの 10分の1 そして、 キャンティの 100分の1 生産者は、たったの14です。 ユニークなのは、カベルネ・ソーヴィニョンがキャンティ・クラッシコよりもはるかに 昔からそのブレンドとして使用されていたことです。 これは一方にはフィレンツェとフランスとの政治的なつながりからできた文化で すが、もう一方にあるのは、現当主の祖父であるアレッサンドロ・コンティニ・ボナ コッシ氏が美術収集家であり同時にワインコレクター出合ったことも大きな要因 となっています。 一地区のたった一人のキャラクターが全地域のワインを規定してしまう面白い 例だと思います。 その流れを受け継いで現当主のウーゴ・コンティニ・ボナコッシは、シャトー・ムートン のロスチャイルド家と非常に懇意にしていたらしいです。 そして、かの地を訪問したときに、思い余って現地のカベルネ・ソーヴィニョンの 枝を無断で拝借してしまったらそうです(^^;) これ世間一般では「泥棒」というヤツです。 そしてそれをカペッツァーナの畑に植えてしまった。 それが、現存しているそうですが、「泥棒事件」から10年後、ベアトリーチェさん の兄がロスチャイルド家を訪問した際に、10年前の罪をわびたそうです。 するとロスチャイルド家の当主がこう答えた。 「フェアーだよ!だって私の妻はイタリア人なんだから!!」 現行のDOCG規定でも、イタリア妻と引き換えになった(!)カベルネ・ソーヴィニョン の15%までのブレンドが認められています。 さて、テイスティングに移りましょう。 ◎CHARDONNAY 2004 IGT シャルドネ 「2002年」ではちょっとガッカリさせられたワインですが、「2004年」は驚くほど 素敵なワインでした! このワイン、リリース当初(1984年初ヴィンテージ)はフレンチオーク樽とステンレス を50%ずつ使用して醸造していましたが、90年代からは、他社と同じようなワイン になることを避けてステンレスタンク100%に切り替えています。 非常に賢明な選択です。 薄い黄金色。涙はたくさん(粘性がある) 香りは甘さがほどほどだが、りんごや柑橘系の混ざった心地良いフルーツ感。 わずかにスパイシーさ、ハーブ、ミネラル感がしっかりとある。 時間が経つと、わずかに「ジャコウネコ」的香りも。 メロンやチーズの香り。 味わいは少し発泡。綺麗な酸。液体の滑らかさもしっかりとしており、余韻で 残る酸もとてもしっかりしてかつ心地良い。 この価格では、素晴らしい奥行きを持ったシンプルなワインだと思う!! いい!いい!!いい!!! ◎BARCO REALE DI CARMIGNANO 2003 DOC バルコ・レアーレ・ディ・カルミニャーノ 薄いルビー。少し紫 チェリー、ハーブ、磯の香り、すみれ 酸、綺麗、タンニンしっかり ※このワインが欲しい! ⇒ ![]() バルコ・レアーレ・ディ・カペッツァーナ1996 -------------------------------------------------------- ◎VILLA DI CAPEZZANA CARMIGNANO 2001 DOCG ヴィッラ・ディ・カペッツァーナ カルミニャーノ ん〜〜、媚がない! 酸とタンニンを基調にした美しいボディー。このスタイルは なかなか真似できるものじゃない!壮麗さすらある!! このワインが欲しい! ⇒ ヴィッラ・ディ・カペッツァーナ カルミニャーノ1999---------------------------------------------------------------- ◎TREFIANO CARMIGNANO 1998 DOCG トレフィアーノ カルミニャーノ さらに奥行きが出て果実味が濃くなっている。 サンジョヴェーゼとカベルネブレンドワインの現代的な成功例! モダンさと伝統が美味く共存している! このワインが欲しい! ⇒ トレフィアーノ1996---------------------------------------------------------------- ◎GHIAIE DELLA FURBA 1999 IGT ギアイエ・デッラ・フルバ このワイナリーが伝統を重んじた新しいコンセプトのワイナリーであること を確信させてくれるワイン。カベルネ・ソーヴィニョン60%、メルロー30% そしてシラー10%。奥の深い伸びのある酸とタンニンが美しい。この酸と タンニンの出方は良質のピエモンテのワイナリーのネッビオーロと同次元の テロワールを重んじたものだと思う。 ---------------------------------------------------------------- 最後にベアトリーチェさんの父である現当主ウーゴ・コンティニ・ボナコッシ氏の お言葉を引用します。 「伝統は大切だが、我々が触れられないものではない。伝統とは船のように 進んで行くものだ」 イタリア・トスカーナの優雅な食卓 トップへ |