![]() 前発酵を終え、圧搾機に向うメルローちゃん ブドウ畑へ 第5回 2005年9月10日(土) 収穫&発酵の現場へ! 年間を通じて一番緊張感の高い神戸ワイナリーにお邪魔しました。 でもその緊張感って本当に心地良い。ワクワクする、いやドキドキ してくる、何だか血が踊るような興奮をともなった緊張感です。このレポートを 読めば、あなたは来なかったことを後悔するでしょう(^^;) 1.メルローの発酵現場へ(前発酵) 発酵タンクに近づくにつれブドウらしい果実香に二酸化炭素の香りが猛々しく 混じった香りが強くなります。 ![]() 2機並んだロトマティック(発酵タンクの種類)。 「スズメバチが二酸化炭素の匂いが好きで近寄ってきますから気を 付けてください!」 栽培担当の末松さんの注意に促されてタンク近くの液抜き付近を見ると 複数匹のスズメバチが舞っていました。 他の虫は近寄ろうともしないのに、スズメバチだけが近寄るというのは やはり二酸化炭素が好きなんだ、ということになるけど・・・・いったい どういう趣味なんだ(笑)。 巨大なロトマティックタンクから破砕された果皮と種子がゴソゴソと 出てくる。もう一方からはホースを伝って吸引された赤ワインの液体が もう一度果皮と種子に加えられていく。 タンクに根詰まりを起こさないためにも液体と固体をまずは分けたほうが 良いそうです。 ![]() このロトマティックタンクは、ブドウの梗を取り除き(除梗)、粒を潰した 後にジュースと皮とタネを漬け込むためのものです。発酵によって生成 される二酸化炭素によって果皮が液面に上ってくるのですが(果帽と いいます。イタリア語でCAPPELLO GALLEGGIANTE=「浮遊する帽子」!) 放っておく酸素に触れてしまってワイン自体が酸化、劣化してしまう。 それを防ぐために色んな方法があるのですが、神戸ワイナリーのこのタンク には中にらせん状の弁があって、それが回転することによって果帽と 液体をひっくり返し、果皮中の色素、タンニン、香りを抽出することができる のです。 上に上って発酵中のタンクの中を見せていただきました(^0^) ![]() ステンレスの弁が回転して下のワインの層と上の果帽部分を混ぜ合わせ ます。でもこれも一日2回だけ、それも各回5分だけ回転させるそうです。 ![]() 隣で前発酵を終えて洗浄されるロトマティックの内部 つまり、やりすぎるとタネが壊れて苦味が出すぎてしまうのです。 ![]() タンクの上に伸びている管からは中の温度を約24度に保つための 冷水が出ています。これがタンクの側面を伝わることによって、発酵が もたらす熱を下げます。これをしないと香りにも味わいに雑味が出たり してフルーティーさが損なわれるそうです。 ![]() こんなパフォーマンスも見せてくださいましたよ。 ライターに火をつけて槽の中に沈めていくと・・・・火が消える。 つまり二酸化炭素が充満していることを意味します。 二酸化炭素に関しては後ですごい体験を僕はしました!! もう一生にそう何度も体験しないことです。もうすぐ後で書きますから 読み進んでください。 ![]() 醸造課長の高坂さんが(いつもに増して目が輝いていました!)果皮と 種子を見せてくれました。 ![]() このなかにはまだ旨味成分、タンニンが含まれています。これを圧搾機 にまわして絞ったワインを最終的な発酵槽で発酵させることになります。 (し、しまった!!今、気づいたのですが、この固形物にタッチするのを 忘れていました!!きっと温かかったことでしょうね・・・・) 例えば、イタリアの一般的なデータと比較するなら、発酵温度はもっと 高めです。だいたい28度ぐらいで2週間ほどの発酵するわけですが 神戸の場合、24度ぐらいで1週間の前発酵、そして圧搾後の後発酵 へと移行していく。 この辺りの差は当然、ブドウの質や環境によって左右されるものだと 思いますが、数字に表れるこの差についてはまた次回に深く伺って みたいと思います。 ヴィニマティックと呼ばれる発酵タンク ロトマティック・回転式タンクとは別にヴィニマティックという 回転式タンクもありました。これは旧式のタンクで果帽と果汁との 混ぜ合わせが非常にアグレッシブに行われてしまうため現在では 使用しないとの事。 ブドウの質が上ると、それをソフトに回転させないとワインに雑味が 出て、本来のブドウの潜在能力がワインに乗り移らない。 ヴィニマティックからロトマティックへのメカニカルな変化は、そのまま 神戸ワイナリーのブドウの質の向上を意味しているのです。 2.シャルドネの発酵現場へ! メルローの圧搾が始まるまでの時間、シャルドネの発酵現場を見せて いただきました。ゆっくりと冷水がタンクの周りを降りていきます。 ![]() ひんやりとした空気のワイナリーです。外が蒸し暑かっただけにとても 心地良い感じがしました。ほのかな発酵香が漂っていて、顔が 半笑いになってきます。僕はワイナリーのこの香りが大好きです。 (でも発酵がまだ始まったばかりだからでしょう、それほど強烈な 香りでもないのですが・・・) 嬉しかったのは、発酵槽の上方へ案内していただいたことです。 ![]() 上に上るとまた一気に温度が上ります。やはり発酵によって生まれる エネルギーって凄いんですね! ![]() タンクの中の白い部分は細かな泡・・・まさにアルコール発酵に よって炭酸ガスが発生している現在進行形です!! もう、この光景を見た僕は興奮してしまいました。発酵香が絢爛と 出ています。 もっと吸いたい!! 僕は貪るように顔を発酵槽に近づけ、更に顔面をこの泡に近づけました。 ん〜〜この匂い最高・・・と、恍惚となったその瞬間!! ファltjh;得るtアshgsl;fj期jzふぁlkk!!!;・・・・・・・ まるで脳みそが電気風呂に漬かったような感覚が脳に駆け巡りました。 目の前は真っ白・・・・まるで感電してしまったようでした。息が出来ません。 僕は咳き込むように発酵タンクの蓋から遠ざかりました。 「ウグ・・・・ブヘ・・・・こ、これは・・・・・」 しばらく朦朧としていなければなりませんでした。 一瞬、酸欠状態に陥ったようでした。立ち上る二酸化炭素を急激に吸って しまったがために瞬間的に脳震盪を起こしたようなものです。 「これ、結構きついでしょ。危ないですよ」 末松さんが冷静に笑いながら言います (最初に言って欲しかった!^^;) しかし、こういう体験は僕は大好きです。本当に興奮しました。 だって、いつもセミナーやイベントなどで話している「発酵」について まさに「体感」したことになるんだから!! 「今年はAランクのブドウのみ」と神戸ワイナリースタッフが胸を張る シャルドネは、14度の温度で発酵が進行しています。 またこのエピソードに関して、三田村先生からヨーロッパでの面白い お話を伺いました。これも午後のテイスティングのところで書きますので 読み進んでください。 3.圧巻!圧搾加減による味わいの違い さて、今度は前発酵を追えた果汁と固形物(果皮と種)を圧搾する 段階です。何回かの段階に分けて圧搾する圧力をだんだんと強めて いきます。 当然、強く絞れば絞るほど酸やタンニンがしっかり出てきますが、絞り すぎると青臭い渋み、エグミがワインに加わってしまいます。 しっかりとしたボディーのワインにはしっかりとした酸とタンニンが必要です が、この圧搾過程を間違えるとアグレッシブになりすぎて神戸ワインの目指す 「エレガントさ」が失われますので、ここも非常にデリケートなプロセスです。 ![]() 圧搾機の中は風船が膨らんでソフトに搾汁されます。当然、濾過されて いませんからワインは濁っています。でも、この色合い・・・・これからお母さん のお腹の中で育っていく胎児の色です。 ![]() 写真が途切れていますが。上にあるのが水平式の圧搾機です。 絞り加減によって変わっていく味わいの変化を感じるために 高坂さんが各段階のワインをテイスティングさせてくださいました。 全く絞っていない「フリーラン」から搾汁具合を段階的に強めて行き この段階はアウトというところとの違いを感じるためです。 @ フリーラン アルコール臭。フルーツ。後味にわずかな苦味。 甘み、酸味、強くない。わずかに収斂味。 A 絞り第一段階 少し香りのフルーツが強くなる。同時に苦味も。 後味に酸味がしっかりと残るようになる。 B 絞り第二段階 更に香りのフルーツ度高くなる。 渋み顕著。酸もややAより強くなる。 ----------------------------------- C ここからがもうワインにはならないもの 苦味と収斂味・・・緑のピリッとした香り D さらに苦味。 E ペラペラ 果実味が薄くて苦い。 タンニン、渋みと青臭い苦味、エグミの境がBとCの間にあったように 思います。 それが最後のグラスでは後味に強いエグミ、香味に残る緑の青っぽい 香りを強く感じるようになります。 「この段階(C)からはもうワインとしては売れませんから、タンニン分を 減らして料理酒に回すんです」 確かにワインとして楽しむものにならなくても、料理酒としての使い道が ある、しかも絞りかすは肥料にもなるし、蒸留酒(グラッパ!!)にもなる。 丹波の西山酒造さんが神戸ワイナリーのブドウを原料にグラッパを 造られています。醸造課長の高坂さんは、 「丹波のグラッパやったら丹波ワイナリーで絞り粕をもらわはったらええ」 と西山酒造さんに言ったそうなのですが、どうしても神戸ワイナリーの絞り粕が 良いそうです。 色んなプロセスで人間に役に立つブドウ・・・・それを最後の最後まで利用する ことって尊いことですね。この「もったいない」精神が、でも最後には究極の 快楽に変わってしまうところもブドウ文化の面白いところだと思います。 この後、メルローちゃんは発酵の最終段階を迎えることになります。 4.樽発酵するシャルドネ・・・・・ フレンチオークの中でゆっくりと発酵するシャルドネ君も見せていただきました。 ![]() フレンチオークの小さな樽です。容量は215リットル前後です。 神戸ワイナリーでは数あるフレンチオークの中でもトロンセ産のオークを 使用しているそうです。その他の樽よりもいわゆる「樽香」が柔らかで ワインの持つ果実味、エレガントさを損ないにくい樽だからです。 ステンレスタンクよりも「酸化」の影響を受け易いので、当然ブドウの質も 素晴らしいものだけがこの樽で発酵をしています。力の弱いブドウからの ジュースを発酵させると果実味が樽の味に負けてしまうからです。 ![]() 上手く写っていないのですが、ピチピチと優しくゆっくりと発酵しているのが わかりました。線香花火のようにシャルドネ君が液面で踊っていました。 シュワ〜〜という音が聴こえてくるような気がしました。何かこう・・・・気持ち がすっきりするような感覚を覚えました。 5.ブドウ畑へ! この後、神戸ワイナリーの自社畑にカベルネ・ソーヴィニョンの収穫に 向いました。 ![]() ただ、現段階はメルローの収穫とカベルネ・ソーヴィニョンの収穫のちょうど 間の期間で、まだカベルネの収穫時期としては早すぎるとのことでした。 でも、食べるには結構糖度も蓄えているので、お持ち帰りように収穫して 下さい、ということになりました。 数字の話になりますが、食用のブドウと醸造用のブドウの大きな違いは その酸度にあります。 糖度は食用、醸造用ともに大体 20〜25度ぐらいで同じなのですが 酸度になると、食用は1〜2度、ワインは7度です。 圧倒的に醸造用が酸っぱいのです。 ![]() 現在はまだ糖が乗り切っていないということで、収穫は9月15日、22日 27日の三段階にわけて収穫されるそうです。 ![]() ところどころ色づいていない粒、あるいは鳥にお召し上がりいただいた 粒が見えますね。神戸ワイナリーではこうした粒も極力取り除いてから 収穫に望むという事です。 2005年ヴィンテージは、葉もブドウの粒も小ぶりで、それだけブドウの エキスが濃縮されているので、グレートな2004年ヴィンテージよりも さらにグレートな収穫が期待されるという事です。 (でも、この辺りは、まだ収穫までの天候次第。完成するまで決め付け られないところがまたワインです) この後は豊かな丘陵地に囲まれてのバーベキュータイム。 そして三田村先生とのテイスティングタイムと続きます。 6.ここまでテイスティングできるワイナリーは他にはない!!? さあ、お楽しみのテイスティングです! 今回は徹底して醸造中のフィルターにも掛けられていないいわば胎児の ワインを比較テイスティングさせていただきました。 まずは2004年、昨年のグレートヴィンテージのシャルドネ。 @とAはブラインドテイスティングでどういう違いがあるかを 感じ取ってみます。 ![]() @の方に複雑味を感じて、これを樽香だと僕は思いました。樽と フルーツの香りがしっかりと感じられました。味わいはまだピリピリして 全く落ち着きがない。 Aは非常に亜硫酸塩の匂いが強いと思いました。こちらも味わいに 落ち着きがなく、まとまりが全く出ていません。 双方共に酸の引きはしっかりとしていました。 という感覚を述べたのですが、高坂さんの答えは・・・ 「@はステンレスタンクのみで熟成しているもの。Aは樽で2ヶ月発酵 させたもの。同じワインでも樽を使うと使わないでこれだけ違うんですね」 ぎょへぇ〜〜!何だって?@がステンレス?メチャクチャ複雑味 出てたやん!! と仰天した僕は 「ということは、僕がAで亜硫酸塩を感じたというのは間違いですか?」 と聞きなおしてみた。 「いや、樽で発酵させるときは、使用前に樽の内側に亜硫酸を施します からその匂いを感じるのはいいと思います」 亜硫酸塩の匂いは時間と共にワインの果実味に凌駕されていきましたが それにしてもステンレスのワインを樽!といってしまうのはやばい。 それだけこの2004年、シャルドネがしっかりとした果実味を持っている ということの証だと思いますが、今思えばもう少し注意深いテイスティング が必要だったかも・・・反省。 BはCランクのシャルドネ2005。 Cランクとはいえ、甘みがしっかりあり、まろやかさがある。Cランクだから こそ酸味の力が足りない、という言い方もできると思う。後味に残る 酸味にリンゴ酸系の尖った酸味をしっかりと感じました。 Cは、発酵中の2005年シャルドネ 糖の濃縮感、厚味がしっかりと感じ取れます。 ピリピリもしっかり。Dよりも発酵香が強く感じます。 Dは、2005年のシャルドネでかもしを施したもの つまり、果皮とジュースを漬け込んだもの。いわゆるスキンコンタクトを とったシャルドネです。 きれいな香り。フルーティーさがよりクリーン。糖の濃縮感と きれいな酸がしっかりと感じ取れる。素晴らしい潜在能力です! ![]() Eはリースリングとシャルドネの掛け合わせ 信濃リースリング2005 やはり、リースリングの影響でしょう、フルーティーさがすごく きれいです。その濁ったワインはまるでネクターでした。 Fは 神戸ワインが誇るリースリング2005 感動的な酸です。一番きれいです。アタックから余韻まで一貫して 優雅で伸びのある酸が続きます。これからのこの酸の成長が本当に 楽しみです。 GはBランクのメルロー HはAランクのメルロー 双方共に8月20日〜9月2日までの収穫。 Gはガスをしっかり感じる。複雑味あり。フルーツは薄く、苦味がしっかり。 HはFに比べて香りの強さが断然強い。濃縮感があってフルーティーで 甘み、酸のバランスも素晴らしい。 三田村先生がワインの舌触り、触感に関してとても効果的な説明を されました。 「このGは、豆腐で言うならもめんなんです。ゴツゴツした感じ。でも Hはきぬなんです。滑らかさが全然違う!」 ![]() 左がBランク、右がAランクです。色の濃さも違いますね。 Iは2004年の新酒をテイスティンググラスで。 フルーツの濃厚さが強く出る。 Jは同じワインで大きなグラスで。 大きなグラスでテイスティングするとフルーツの濃厚さが少し薄れて 引きのある複雑味が生まれます。フルーツが拡散してしまうイメージ なのです。 「僕は、フルーティーさを凝縮して感じる小さなグラスの方が美味しく 感じてしまうんですけど・・・」 と言うと、三田村先生は、 「ああそう・・・でも、神戸ワインは大きなグラスで感じるエレガントさが 良いと思っているの」 と言われました。 (個人の感性の違いというのは当然あるのですが、細かいところで もっともっと三田村先生の感覚をしりたいと思いました。もちろん同時に 自分の感性も研ぎ澄ませて行く必要があります) Kは2002年メルロー。6ヶ月樽熟成でマロラクティック発酵を10日 Lも2002年メルロー。樽熟成2年でマロラクティック発酵が11日。 Kは酸味と苦味がしっかりと出ています。Lはフルーティーさがきっちりと あって、余韻の香りもしっかりと感じました。 マロラクティック発酵というのはワインの持つ尖った酸をまろやかな酸に 変える発酵ですが、1日の違いで酸の出方も随分違うことが分かりました。 でも一方は6ヶ月の樽熟。もう一方は2年。この辺りの熟成期間も味わいを 大きく決定付ける要素ですから、ワイン作りとは複雑にからみあった プロセスの総合商社(!)という感じです。 三田村先生が面白いパフォーマンスを見せてくださいました。 LのワインとHのAランクの全然違うヴィンテージのワインを大きな グラスの中で混ぜ始めたんです。 何度かHの加減を変えた上でLの2002年を85%、Hの2005年を15% にして、 「これ、ちょっと試して見て。で、どんな感じが言ってみてください」 とグラスを皆に回すように促されました。 2002年のまろやかで濃厚な感覚が、イキイキとしたフルーツで明るく なったように感じました。 「華やかさが増しましたね!」 というと 「ん〜、いい表現を使うね!」 と、言って頂けました(^^) 違うヴィンテージを混ぜ合わせるなんて、普通はしないわけですが、でも シャンパーニュは混ぜますし、ボルドースタイルなら違うブドウ品種の ものは混ぜるわけです。 そして単純に「混ぜる」と言っても、その意味や哲学というのがワイン文化 にはある。そういうところをこれから深めていく上で、とても素晴らしい経験を 投げかけていただいたと思いました。 (12月にカベルネとメルローのブレンドについてのテイスティングを神戸 ワイナリーで開催していただく予定です。) それにしても、これだけの「内部機密」を開けっぴろげに公開しても大丈夫 なんでしょうか。三田村先生も 「大会社のワイナリーに行っても、製品になったものしかテイスティング させてくれませんよ。ワイナリーの中だって、これだけ案内はしてくれない」 とおっしゃいます。 確かにそう思います。僕は、日本でワイナリーに行った経験はほとんどない のですが、これほどまでの経験はありません。イタリアでも珍しいでしょう。 ただ、イタリアでは樽の中のワインとかステンレスタンク内のワインとか リクエストすれば飲ませてくれる。内部の情報も公開するというのが一般的 です。 「でも、神戸ワインは違うんです。手の内を見せたところでまねなんかできない。 そういうものを造っている自信があるからです。それにワインはブドウの育つ 環境が違えば別のものができる。工業製品とは違うんです。この本質を 知っていれば、手の内をみせることに怖さなんか全く感じませんよ」 神戸ワイナリーの意志は、感動的なまでに強い。 三田村先生は、その他にもわざわざ2003年物のブルゴーニュワインを 開けてくださってピノ・ノワールのエレガントな世界、神戸ワインが 目指すべき世界のひとかけらを示してくださいました。 「このワインでブルゴーニュのものとしては中学3年から高校3年生ぐらい だな」(笑) 神戸ワイナリーには、まだリリースされていないピノ・ノワールがあります。 (第二回の「ブドウ畑へ!」でテイスティングさせていただきました) 三田村先生も、跡を継いだ高坂さんでさえも 「自分の時代では無理!」 と言い切る、醸造が非常に難しい品種です。樹齢が増して、そこに経験と 気候的条件がきっちりと合致しないとエレガントさを出さないブドウです。 でも、その夢こそワイン文化の本質であると三田村先生はいつも強調 されます。 「人間がものを作るときにまず何を大切にするか、何を守り、何を継承して いくかが凄く重要ですね。それが文化です。そして何千年にもわたって 受け継がれているワイン文化のある西洋はパワフル!そして日本は しなやかな文化。でも、日本人は繊細な民族ですから、きっとワイン文化を 皆が理解できると思っていますよ。」 テイスティングを終えたところで、先ほど炭酸ガスに感電したことを お話しました。 「あれは、ほんとに危険なんですよ。ああ、でも君いい経験したなぁ!」 こんな経験普通じゃ絶対出来ないんだよ。」 と三田村先生も喜んでられる。 先生によるとヨーロッパでは、この二酸化炭素(つまり発酵中の炭酸ガス) にやられて気を失って発酵槽の中に落ちて死んでしまう人も多くいたとか。 だから昔のヨーロッパの醸造所(特に修道院などでしょう)では、地下の 発酵槽に行くときは必ずろうそくを腰の位置に持って発酵状況を点検しに 行ったらしいです。 ろうそくの火が消えるところから下は二酸化炭素が充満している、ということ がそれで分かるからです。 だからろうそくは高く持ってはいけない、必ず腰の位置に持って地下に下りて 行った、ということです。 僕は、先ほどシャルドネの発酵槽で気を失いかけていたので、その説明が 本当に腑に落ちて、納得できました(^^;)。 その他にも三田村先生からは沢山の良いお言葉をいただきました。 「ブドウを冷凍庫で凍らせればアイスワインはできます。でも我々はそんな ことはしない。それはワインの本質から外れること。そしてそんなことで このワイナリーの先輩が若い子に逃げ道を作っちゃいけないんです!」 「人間の存在はアメーバーであるべきです。中に芯になるものを持ち ながらも色んな形に変化することが大切です・・・」 「35年間、ワイン作りをしてきましたが分からんことの方が多い。9割 がたがわからんことです。だからこそ、有り難いことだと思っています」 「人の3倍ぐらいはがんばってきたけど、いつも白紙状態。キャンバス だけは貰っている、という感じです」 「ブドウという果実は発芽率が90%なんですね。果実でここまで高いのは ブドウだけなんですよ。だから人間はブドウと深い関係を保ってきた。 沢山取れることは豊穣。豊穣なところには平和が訪れます。そして平和が あるところには繁栄がもたらされる。 豊穣と平和と繁栄・・・・・この3つこそワインの象徴する本質的な 意味なんですよ」 神戸ワイナリーに来るといつも真摯で清清しい気持ちになれます。 今回、ワインの胎児たちに触れ、そして三田村先生、高坂さん、 末松さんにお世話になり、いっしょにテイスティングして、神戸ワイナリー に対する愛着が一層強くなったと同時に、この素晴らしいワイナリーを もっと多くの方に知ってもらい、体験してもらいたい!という意志を 強くしました。 ![]() テイスティング会も終わろうとする頃、再発酵で泡が 出始めた2005年のワインたち 「ブドウ畑へ!」は、これからも続きます!! 第一回 2005年5月 はじめての「ブドウ畑へ!」 第二回 2005年6月 副梢整理と誘引 第三回 2005年7月 ブドウ畑について尋ねる 第四回 2005年8月 色んな畑のブドウをテイスティング 第五回 2005年9月 発酵、圧搾、そして収穫! 第六回 2006年1月 アッサンブラージュと剪定 第七回 2006年3月 接木&青空テイスティング 第八回 2006年5月 芽かき&醸造現場テイスティング 第九回 2006年6月 誘引、巻き蔓除去、先端カット、副梢除去、花カス除去 第十回 2006年7月 酷暑の中の誘引、まきづる除去 パート2 第十一回 2006年8月 畑巡り&ブドウテイスティング 第十三回 2006年12月 『グラン・クリュ大沢(オオゾ)』へ 第十四回 2007年2月 2006収穫ワインのアッサンブラージュ 第十五回 2007年3月 冬季剪定&接木 トップへ 次回の「ブドウ畑へ!」 「ブドウ畑へ!」のヴィジョン 神戸ワイン 神戸ワイン ブドウ栽培日記 神戸ワインのショッピング
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