ブレンド講習前に我らがブドウちゃんの様子を見てきました。

  
        pantani           TimbroCaro          Tachis
  
        Verdi             Valentini          Vivaldi
  
       Visconti           Scarlatti           Tesoro
  
      Puccini            Caravaggio          Da Vinci
  
       Fellini             De Sica            Miani
  
     Il vino e' bello

  
   はよ、剪定しなはれ〜〜〜

   ブドウたちは寝言を言っているかのようでした・・・。

  

    ブドウ畑へ!  No.14


   ブレンドをグループワークする!
   


  テイスティングルームに入ると、各テーブルに準備されて
  いるテイスティンググラスと3つの赤ワインサンプル、そして
  例のメスシリンダーが目に入ってきました。

  これこれ!これよ!!


  昨年も、この風景にはワクワクしたものですが、今年も
  これから始まる未知の世界、しかも自分たちがずっと
  見てきた(といっても数ヶ月に一度くらいですが・・・)ブドウ
  からできたワインがどんなブレンドによって、どう変化するかを
  感じることができるのです。

  
  ワインテイスターとして喜び以外の何物でもありません!

  ホワイトボードにはおもむろにどんなワインがサンプルとなって
  いるかが記されています。


  
   メスシリンダーでの微細な計量は難しいのですが
   わずかな差が大きな味わいの差につながることをこの後
   知ることになります。



  A. 2006 カベルネ  MLF
   
  MLFとは、マロラクティック発酵、つまり乳酸発酵を
     施したワインのこと。トゲのあるリンゴ酸を柔らかい
     乳酸に変える発酵で、熟成タイプのワインは必ず
     乳酸発酵をさせて、酸を和らげるのです。


  B. 2006 メルロー  MLF

    
同様にメルローでMLFをかけたワインです。

  C. 2006 カベルネ タル内発酵

  
 一般的に赤ワインはステンレスタンクでの発酵と
   果皮とジュースとの漬け込み作業(マセラシオン)が
   行われるのですが、フレンチオークで発酵させることに
   より、樽からの香りやタンニンをつける方法もあります。


  

 ここで今回のテーマ&プロセスですが、

 1. この3種類をアッサンブラージュして、飲み飽きのしない、最初
    ずっしり来るよりも、エレガントで、余韻にしっかりとした印象を
    残すワインを各グループで造る。

 2. 樽熟成は半年〜1年させるので、この熟成具合も考慮に入れて
    つくる。別コーナーに2004、2001、2000の「ノーブル」という
    同じラインのワインから作られたサンプルがあるので、それを
    熟成の目安にして決定サンプルを仕上げる。

 3. 決定サンプルを各グループ(3グループ)で提出し全員で
    ブラインドテイスティングをして投票し、、一番美味しいワインが
    一等賞となる。




 
  まずは3つのワインをそれぞれテイスティングしてみます。

  A.薄いピンクにやや紫

    カベルネらしい鉛筆の芯のような、植物的な香り
    発酵香、甘味もあるが果実味は判然としない
    明るい色の赤い果実
    
    軽い発泡と苦味。尖った酸と苦味のある乾いたタンニン
    持続しない液体の柔らかさあり
 
    余韻に強すぎる酸とタンニン、心地よいとはいえない。


  B.薄いピンクにやや紫

    やや漬物的発酵香 甘みはAの方が強い

    軽い発泡、酸、タンニン、柔らかいが余韻で強く
    感じる。


  C. 濃いルビー色 

     木樽の香り
     木苺やカシスの香り

     梅干的な酸味があるが、どっしりとした重い余韻が残る


  高坂さんは

  「樹齢の関係もあって、カベルネよりもメルローが強くなって
  るでしょ?こういうのは今年のヴィンテージが初めてです。

  これだけメルローが強いと、もうこれで新酒は無理。

  だから、このメルローの味わいをどれぐらい入れるかでかなり
  全体が変わってきますので、注意してください」


  僕は、カベルネよりもメルローが強いとは全然感じなかったの
  ですが・・・(^^;)



  グループワーク サンプルA
  (A:B:C=1:1:1の場合)



  【評価】
  香りで甘み、果実、樽ともにしっかりと感じるがやや重く
  余韻の印象が薄くなる。


  やはり樽発酵したワインの芳香、特に樽香やある種の重い果実味が
  強すぎて、AとBの持つフルーティーさの軽さが打ち砕かれる印象
  なので、次に、ABだけをそれぞれ7:3ぐらいの比率でまぜて、
  味わいの全体像を整えてから、Cを弱冠量加えることにしました。



  グループワーク サンプルB
  (A:B=3:7の場合)


  【評価】
  香りでやや甘さが出て華やかな印象
  発酵香のきつさ・・・出ていない。

  タンニンがかなり引っかかり、浮いている。
  甘さも感じ、酸はやや丸い。



  グループワーク サンプルC
  (A:B=7:3の場合)


  【評価】
  深みが出た分、発酵香のきつい感じも出る。
  タンニンが浮き、酸はしっかりと感じる。

  この段階で、方向性はサンプルCよりもBつまりメルローの多い
  方を採用することになります。メルローを主体にしたほうが、果実味
  が出ると同時に飲みやすさがあったからです。

  またストラクチャーの面においても、タンニンの強さにおいては
  メルローも遜色はなく、酸はややカベルネに劣るにしても
  ポテンシャルはしっかりとあったため、綺麗な果実味を優先
  することにしたからです。

  ここで方向性は、メルロー主体に決定したわけですが、もう一回
  念のための実験を試みました。

  つまり、メルローのパーセンテージを70%から60%にしてみると
  どうなるか、という細部を詰めることにしました。

  
  グループワーク サンプルD
  (A:B=4:6の場合)


  香りの甘みと果実味は良いのですが、やや発酵香が強く感じました。
  軽やかな印象が薄れたのですが、ここにCの重い感じのする
  樽内発酵のワインを加えることに決定ました。

  よって、メルローを60%ととする線までは、ここで詰めたことになり
  ます。

  今度は残り40%を占める事になる二つのカベルネの比率の
  問題です。


  グループワーク サンプルE
  (A:B:C=3:6:1)


  ABのフルーティーさとCの樽から来るやや熟成した香りの
  バランスは良い。味わいもフレッシュさがあって、ほのかに
  C的な凝縮した果実味が余韻に残って良い感じ。

  おそらくこのフレッシュさが、半年〜1年の樽熟成で丸みを
  帯びてくる・・・そう思うとなかなか良いブレンドではないかと
  いう意見で落ち着きました。


  でも最終決定する前にもう一度、別の比率を試して見ました。
  二つのカベルネの比率を変えてみるのです。


  グループワーク サンプルF
  (A:B:C=2:6:2)


  ふむ。現時点でのABとCの香りのバランスは非常に良いのですが
  味わいでCの重たい感じがややでて、これから熟成させて丸みを
  帯びさせることを考えると、落ち着きすぎという結果になりました。

  
  よって、グループCは(條ご夫妻と井口さんと僕)の決定サンプルは


  A:B:C = 3:6:1


  となりました。


  ABCの3グループが提出したけってサンプルをいよいよ試飲
  します。もちろん、このサンプルは高坂課長が我々に分からない
  ように順序を換えられて、ブラインドテイスティングするのです。



  


  

  我々の課題は二つあるでしょう。

  1.美味しいワインを探すこと
    神戸の「ノーブル」に相応しいエレガントさのあるワインを
    選ぶことです。

  2.自分のグループのワインを当てる


  決定サンプルは、3グループからそれぞれ一つが提出されて
  いますので、たった3つから一つ選ぶので「簡単じゃないか」
  と思われそうですが、決してそうではありません。

  そのブレンド比率によって、実に繊細な世界が展開します。

  並べられた順序を無視してテイスティングに入りました。


  ◎決定サンプル3

  僕にはCのワインが多すぎるように思いました。
  まず我々のワインではないと思いましたし、深みはあるので
  すが、飲み飽きのしないエレガントさとはやや違うと思いました。

  ◎決定サンプル1

  果実味は綺麗に出ていましたし、フレッシュさも綺麗です。
  これが、自分のグループのワインかなと思いつつも、果実の
  出方がやや軽すぎるかな・・・という思いもありました。

  ◎決定サンプル2
  
  味わい的には、一つ目と二つ目の中間的な感じがありましたが
  むしろ一つ目の重めの味わいに近いと感じましたので、僕が
  決定したのは・・・


  1. 美味しさ ⇒ 決定サンプル2

  2. 自分のグループのサンプルは、 決定サンプル1


  全員の最終投票の結果は、サンプル1とサンプル2のデッドヒート!
  たった一票の僅差で・・・

  
  美味しさ ⇒  決定サンプル1


  となりました。僕の投票したワインではありませんでした(^^;)が
  僕たちのグループのワインが選ばれました!


  そして、どのワインがどのグループのワインだったかと
  それぞれのグループのブレンド比率が公開されました。
  

(カベルネ)

(メルロー)

(カベルネ樽発酵)
決定サンプル
グループ1
グループ2  3
グループ3  3

  ムム?

  おかしいと思いません?
  接戦だった決定サンプルの二つ(グループ2とグループ3)の比率は
  全く一緒なのです!(^^;)

  しかも僕は全然違うワインのように感じてしまったのです。
  
  「どっちかが、メスシリンダーで測る時に間違ったんちゃう?」

  誰もがチャンチャン!で終わろうとしている時に、高坂課長が
  実に面白い比較テイスティングを二つ用意してくださいました。

  
  比較テイスティング その1
  1位を獲得したグループ3のワインを二つのグラスに用意して、
  一方に神戸ワイン「ノーブル2000」を1%だけ、つまり1ccだけ
  をブレンドします。そのワインと「ノーブル2000」を加えないワイン
  との比較テイスティングです。


  たった1ccの違いが如何に出るかということなんですが、これが
  本当に大きな驚きでした!!

  1ccを加えたワインには、酸が丸くなって、全体的に味わいの
  一体感ができて、深く引き締まった印象になったのです。もちろん
  余韻に残るわずかな香りさえも、落ち着いた果実とスパイスの  
  バランスを保ったワインに!

  「全然違うでしょ?

  ブレンドと言うのは一つのワインの微妙な差で
  味が大きく変わります。作ってるほうにとっては、本当に怖い
  世界であり、経験が必要なことなんです」


  と、静かに語る高坂さん。


  比較テイスティング その2
  神戸ワインの「ノーブル2006」になるべく、スタッフによって
  ブレンドされたワインの、冷却処理したものとそうでないものとの
  比較テイスティング。

  ※冷却処理とは
  ワインの安定化処置の一つで、発酵を終えて、圧搾され樽に
  移される前のワインを低温に冷却して、不純物を取り除くこと。
  その不純物の中にも旨み成分があるために、冷却処理をしない
  ワイナリーはヨーロッパで増えてきている。ですので、進んだ醸造
  技術、ことに雑誌に取り上げられるようなワイナリーは採用しないことが
  多いので、やや否定的な感じで受け止めてしまうのですが・・・・

  でも、真実は違うんですね。

  本当に驚かされました。

  香り、味わい共に、雑味が消えて、クリーンな印象を与えます。

  同じ人間でも、髪の毛を梳かした人と、寝起きの風貌の差
  ほどに違うものでした!

  「冷却処理をしないほうが良いという人もいるんですが、しないで
  樽熟成に移した場合に、とんでもない方向に行っちゃうことが
  あるんです。こうしてクリーンにしてから熟成させないと綺麗な
  ワインはできません」


  と、経験に裏打ちされ、確信に満ちた高坂課長。

  

  単一ブドウで一つのワインを造ってしまうブルゴーニュ系の文化に
  対して、複数のブドウで一つのワインを作ってしまうのはボルドー
  文化(おそらくほとんどの産地では伝統的に後者。新しい産地は
  マーケティング的に前者を選んでいると思います)。

  冷涼なブルゴーニュは、ブドウが生き延びるのも一苦労でそこに
  人間との強い絆が生まれるように思います。

  一方、温暖なボルドー(その他、中南部イタリアを含む地中海
  地域など)は、様々なブドウがサヴァイヴァルでき、その年の気候
  状況によって育ちの違うブドウを人間が選別してブレンドし
  ブドウ同士が補えるようなワイン文化を育んできました。

  一神教と多神教にも似たブドウに対する態度があるのだと思います。


  神戸ワインはどちらにもリスペクトを払いながらも、ブドウの適応
  能力の高かった多神教系のブドウ、カベルネとメルローを最初に
  育て、ブレンドの経験を積み重ねてこられたんだと思います。

  おそらく、遠い未来に目指されているのは一神教的な
  ブルゴーニュ的ストイックなエレガントさではないかと思いますが
  今回は、アッサンブラージュ=ボルドー系のワイン術について
  充実した勉強ができたと思います。

  醸造課の高坂課長、そして栽培課の安居さん、どうもありがとう
  ございました!!

  参加くださった皆さんも、有難うございました!!
  楽しかったですね!


  次回はじっくり畑作業しましょう!!(^^;)
  

    次回開催は2007年3月4日(日)です。



  テイスティングの前に我がブドウちゃんたちの様子を見て来ました。
    どんな様子か見てやってください!

  

   
  「ブドウ畑へ!」全レポート
   第一回 2005年5月 はじめての「ブドウ畑へ!」
   第二回 2005年6月 副梢整理と誘引
   第三回 2005年7月 ブドウ畑について尋ねる
   第四回 2005年8月 色んな畑のブドウをテイスティング
   第五回 2005年9月 発酵、圧搾、そして収穫!
   第六回 2006年1月 アッサンブラージュと剪定
   第七回 2006年3月 接木&青空テイスティング
   第八回 2006年5月 芽かき&醸造現場テイスティング
   第九回 2006年6月 誘引、巻き蔓除去、先端カット、副梢除去、花カス除去
   第十回 2006年7月 酷暑の中の誘引、まきづる除去 パート2
   第十一回 2006年8月 畑巡り&ブドウテイスティング
   第十三回 2006年12月 『グラン・クリュ大沢(オオゾ)』へ
   第十四回 2007年2月 2006収穫ワインのアッサンブラージュ
   第十五回 2007年3月 冬季剪定&接木


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