フルーツ・フラワーパークに隣接する神戸ワイン大沢(おおぞ)のブドウ畑

    ブドウ畑へ!  No.13


   神戸ワインの「グラン・クリュ」へ!
   

  9月の収穫に続いての訪問は、初の試みバスツアーです(^^)


  普段作業をさせていただいている農業公園の畑、そして2年連続して
  収穫前にブドウそのものをテイスティングさせていただいた西区平野
  メルローと信濃リースリング、シャルドネの畑・・・いずれも、神戸ワインが
  独自にランキングしているワインに適したブドウ畑としては「Bランク」の
  畑です。

  是非「Aランク」の畑が見たい!!

  そんな僕の願いを神戸ワインの高坂さん、末松さんがかなえて
  くださいました。


  最初にいつもブドウをテイスティングさせていただいている平野のブドウ
  畑へ行きます。

  
   西神中央駅付近を臨む信濃リースリングの畑


  瀬戸内海を臨む広大な畑で、その枝をむき出しにしている信濃リースリングと
  メルローが我々を迎えてくれます。夏のはちきれんばかりの緑を輝かせた頃とは
  比べようもない、無残で「死」をも連想させる光景でもあると思うのですが
  神戸ワインスタッフが育て続けているという安心感があるからでしょうか
  または都会の喧騒を視覚的に見て取れる地勢のせいでしょうか、全く
  寂しい気持ちにはならないのです。

  やや風はありましたが、光がキラキラして寒い感じもあまりなく単純に
  真夏以来のメルローとの再会を喜んでおりました。


  最初に気づくのは信濃リースリングの木々が『百日紅(さるすべり)』の木の
  ように主幹がつるつるしていることです。

   
         ツルツル!!       まだ剥いでいない主幹を一部剥いでみると・・


  これは「荒皮剥ぎ(あらかわはぎ)」という作業をした後の畑だからです。

  2,3年に一度、風雨にさらされてボロボロになった主幹の表皮を
  軍手などで剥ぎ落とす作業で、これをしないと表皮にも病原菌が
  ついて結果としてブドウの質を著しく落とすことになるそうです。 

  はさみ等で作業すると表皮を傷つけてしまい、そこから樹液が流出
  して全く芽を出さなくなるので、絶対に軍手などを使って優しく作業する
  ことが必要なんだそうです。

  
  平野の耕作面積は30haでそこに2法人、15戸の農家の方がメルロー
  シャルドネ、信濃リースリングの畑の面倒を見てくださっています。

  土は、第4紀層大阪層群に属し、砂と礫を含む粘り気のある土壌。
  造成時に切り土・盛土を施し整地されていて、一部に山土の赤土が
  ある圃場もあるそうです。

  末松さん曰く、

  「赤土は、根域が良く深くまで伸びています。樹勢は旺盛な時もありましたが、
  現在は落ち着いています。根域が深いため、”04年や”05年の猛暑でも樹は
  枯れませんでした。質的には礫の多い圃場に比べて樹勢が強いため上の
  ランクには届きません。」


  樹勢が強いことは量産につながっちゃうんですね。でも根域の深さは
  非常時にモノを言う。雨の少ない年はやはり良いブドウをつける。


  「ブドウはもうすでに冬眠しているですか?」
  

  この問いに栽培担当の末松さんが今年の結果枝を一本切って冬眠している
  かどうかを見せてくれました。切り口が樹液で濡れていればまだ起きて
  いる証拠、乾いていれば眠っている証しです。

   

  触ってみるとすぐに眠っているかどうかが分かりました。
  この僕の指先がじっとりと濡れたんです。そう、まだ寝てないんです。
  

  かなりしっかりと濡れたんです。まるで死んだかのようにしている
  冬のブドウの木々ですが、生命は静かに生き続けているんですね。

  2月頃になって気温がしっかりと下がる頃になると、水分が地中から
  引き上げられなくなる・・・つまり完全に冬眠しちゃうわけですが、その
  タイミングで結果枝を剪定しないと余計なエネルギーをブドウが消耗して
  しまうのです。

  また結果母枝からウジャウジャと伸びている髭のようなものが気になり
  ました。

  

  これは、気根(キコン)といって、梅雨の時期に雨が多すぎて根にダメージが
  かかった場合に、こんな風に空気中からも水分を取ろうというのか、髭(根)を
  生やすのだそうです。


  雨の多かった今年の梅雨の季節がここに出ています。

  気候との生きる残るためのギリギリのせめぎあいを地中深くで演じた末に
  ブドウ自身が選択した道なのですね・・・。


  でも・・・・

  

  ツルツルとした足が整然と並び、その上には毛むくじゃらの枝が平行に
  走っている姿・・・・・・何だかイビツ!

  下半身はスレンダーな美女、上半身は腋毛ボーボーの・・・(^^;)
  失礼しました<(_ _)>




  道を隔てたメルローの畑にも足を踏み入れました。

  
   質疑応答も皆さん熱心で楽しそう!

  
   ほんのちょっぴりまだ落ちきっていない葉をみつけました・・
  
  お昼前に北区フルーツ&フラワーパークに到着して、まずは、蒸留所を
  見せていただきました。

  

  度肝を抜かれるスケールでした(^^:)このランビキ(蒸留器)は
  フランスのコニャック用のもので、隣にもう一機同じものがあるのです!

  酒税法が変わりブランデーが廉価で売られるようになると、全く
  採算性の合わないビジネスとなって、ここ5、6年は使用していない
  そうです。


  イタリアのグラッパの蒸留所に立ち込めていた濃厚な果実たっぷりの
  アルコール臭を思い出しました。でもこちらはややしっとりと埃の臭い・・・
  ちょっと寂しいですね。

  それにしても神戸ワインのブランデーって知ってましたか?
  僕は知りませんでした(^^;)一度巡り会いたいものです(^^;)


  その後、テイスティングタイムとなりました。

        神戸ワイン 2006年新酒『みのり』 白

  まずテイスティングしたのはできたてホヤホヤの新酒です。

  メロンやマスカットの香り、味わいのまとまりはスマートで酸がとても
  爽やかで綺麗です。

  醸造課長の高坂さん曰く

  『今年は早めの収穫で酸が強いブドウを使ってみました』

  やはり神戸ワインらしさを見る上でとても大切なのは『酸』の綺麗さに
  あると思います。彼らがいつも口にする言葉、最大の賛辞でもある
  『エレガントさ』はこの酸から来るものですから。

  もちろん大げさな味わいはありませんが、ワインの最もカジュアルな
  層として誰からも好かれる果実味を持ったワインです。

  同じことは赤にも言えるでしょう。

        神戸ワイン 2006年新酒『みのり』 赤    


  また、お客様が差し入れてくださったのは、なんとピエモンテ土産の
  シャルドネとドルチェット・ダスティ!!ヴィーテ・イタリアツアーに参加
  されたお客様からでした!!有難うございます!!

   ルペストゥル社 VDTビアンコ2005

  シャルドネ100%のステンレス熟成タイプ。
  「みのり・ビアンコ」のシャープな酸はありませんが、ポテンシャルの
  しっかりした酸の構成が素晴らしいワインで、シャルドネらしい洋ナシの
  香りがストレートに出ていました。
  
  神戸のシャルドネと比べてみたくなりました!

   ドルチェット・ダルバ03  ルペストゥル社

  ステンレスのシンプルなつくりのドルチェットですが、瓶熟成の大切さが 
  分かります。やや粗いタンニンは比較的おとなしい印象で、酸が全体の
  味わいをまとめています。単純に良いワイン!お料理ともどこまでも
  とことん付き合ってくれる軽さとほんのワンタッチの深さをも兼ね備えた
  逸品です。



  僕はこのワインを持ち込みました。

        カベルネ・ソーヴィニョン

  高坂さんは、「2000年の方が美味しいで!」とおっしゃってましたが
  僕はこのワインの素晴らしさには感銘を受けました。

  丁子やリコリスを思わせるほろ苦さとミネラル感のその奥底に凝縮した
  果実味がちゃんとある。よく熟れたブラックベリーやカシスリキュールの
  ニュアンス。

  行き過ぎた熟成香もないし、きっぱりとした果実味が低辺に存在してい
  るんです。まさに奥行きのある「エレガント」なワインじゃないでしょうか。



  宴会場でお弁当を頂いて、さあいよいよ!クライマックス大沢(オオゾ)の
  畑訪問です!!


  でも、面白いことにこの畑は見事にフルーツ&フラワーパークに隣接
  しているんですね。だから、バスに乗って遊園地を越えるとすぐに
  畑が見える。


  しかも、一般客用の梨園や食用ブドウの畑はゴーカートのコースの中にある!!
  (ゴーカートコースが畑の中にあるとも言える、こんなゴーカートなら一度乗って
  見たい¥^。^;)

  遊園地に隣接したブドウ畑・・・・イタリアでは絶対にお目にかかれそうに
  ありません!もしかしたら世界唯一かも!!
  
  
  ゴーカートコースが走る大沢の畑、後ろに扇風機が見えます
  霜を防ぐための設備です
  
  
  
   熱心に説明される高坂課長

  大沢(おおぞ)の耕作面積は平野と同じ、30haで、3法人52戸の農家が
  カベルネ・ソーヴィニョンとシャルドネの面倒を見ていてくださる。

  土は、第3紀層神戸層群に属し、砂と礫を含む粘り気のある土壌。
  花崗岩・水成岩を含む。時の地下部は青の粘土層あった所は暗渠排水を
  施し、土壌改良をしている

  末松さん曰く

  『青は地下部に存在していまして、これも造成時の切り土で大型重機で
  掘削してぶどう樹の列の下には暗渠排水資材を入れています。青土の層が
  岩盤になっていれば根もそれ以上伸びませんし、水が溜まってしまいますので
  そうならないようにしていますので、問題ないと判断しています。しかし、全ての
  岩盤を掘削するのは不可能ですので品質的にはこれも上にはならないと
  思います。』

  大規模な掘削は根をどうマネージメントするかと直結するわけですね。
  すごい!!

  でも、それなら大沢(オオゾと平野の土壌はそれほど大きな違いがないという
  ことになります。


  「この畑と先ほどの平野の畑の大きな違いは何ですか?」


  高坂課長曰く
  「一番大きな違いは気温差ですね。ここはもう三田インターのすぐ
   近くですし、2〜4℃ぐらいは低くなります。つまり、酸をそれだけ
   保てますし、熟期が5日から一週間遅くなる」



  そっかあ!
  熟期が遅いとそれだけ色も香りも、質の高いワインに必要なものを
  ブドウが自ら溜め込んでくれるというわけですね!

  
  「大沢(オオゾ)の畑は霜が出るんです。だから扇風機で霜を取る。
  平野の畑はその心配がないんです。」



  湿気の多い日本の気候のハードルの高さをまたここで見るようです。
  イタリアでこんな設備は必要ない。


  「ここの最高品質のブドウが「カベルネ・ソーヴィニョン」に使われますが
  収量は、これはヨーロッパ規格になりますね。それこそ8トンにも満たない
  くらいですから」


  
やはり条件の良い畑は、収穫量を減らし、果実味を高めてプレステージの
  高いワインを造ろうとするワインメーカーのモチベーションを高める。


  

  バスを降りてしばらくすると、強烈な風が六甲山から吹き降りてきて
  皆が風上に背を向けて、肩をすぼめました。かなり寒い!上の写真も
  皆丸くなってるでしょ?(笑)

  ぼくはずっとこの風を感じていたいとすら思いましたが・・・骨の芯まで
  しみる寒さでした(^^;)


  午前中の平野でも風はありましたが、やはりここは温度が低い!
  この風の冷たさだけでも大沢の畑の冷涼さを身体で感じることが
  できました。

  (もちろん午前と違ってこのときはやや曇っていましたから、単純な
   比較は正確でないのですが、あくまで体感した無邪気な感想です)

  

  末松さんがシャルドネの枝を切ってくれて、樹液の状態を見せてくれました。
  こちらはもうすっかりと乾いています。

  僕が背中に感じている冷気とブドウの樹が感じている寒気がそのまま
  つながったような気がして、植物との奇妙な連帯感を感じました。


  
  ピントがややずれているのは風で小刻みに揺れているからです・・・


  最後の枯葉が一葉、しぶとくも儚く枝にしがみついていました。
  「もう限界・・・」そうつぶやいているように見えます(^^;)

  ブドウたちはまだ「ウトウト」している状態なのでしょう。これが熟睡状態
  になる2月に入る頃に剪定が行われます。

  次回もとっても寒そうですが、子供の寝顔を覗きに行くようなワクワク感で
  また作業に来たいと思います(^^)


  帰りがけに遊園地のそばに元々ユニ・ブランが植えられていた畑があり
  ました。ユニ・ブランといえばコニャックの原料となるワインのブドウ品種で
  あり、イタリアで言えばトレッビアーノ!!


  地球の裏の極東地域にようこそ!!
  と言う感じですが、経済の合理化によって引っこ抜かれちゃった・・・・・
  神戸のトレッビアーノワインというのも実にユニークではあるでしょうが
  実に哀れです・・・。


  帰りのバスの中でお客様が持ってこられたモスカート・ダスティとパネットーネ
  をいただきました。

  感動的な相性でした。

  僕が最も好むモスカート・ダスティの飲み方は、夏の暑い日の夜にギュッと
  冷やしていただくことだったのですが、パネットーネのパン生地の食感と
  甘みとドライフルーツのやや重い凝縮した香りにモスカートの軽い発泡と甘み、
  そしてデリケートで綺麗な酸とマスカット香が「ぴったりくっついて離れない」
  とでも言うような相性を見せてくれました。

  「マリアージュ」の一つの理想像を見るようでした(^^)


  このクリスマスには絶対に欠かせないものですよ!!


  それにしても、この日の天気予報は雨。
  朝から滋賀県は雨、京都でも大阪でも神戸の三宮でも雨上がりの
  実にひんやりした天気だったのですが、西神中央駅に出たときに
  爽やかな光線がアスファルトを反射していたのには驚きました。

  本当に有難うございました!!



  午後3時過ぎにに農業公園に到着して解散となり、三宮に着いた時には
  土砂降り雨が降っていました。


  イタリアでもタオルミーナでの半日の雨以外はシチリア、ピエモンテでも
  ず〜〜っと毎日晴れ(^^) 


  実は僕は晴れ男だったんだ!!(^^)


   
  「ブドウ畑へ!」全レポート
   第一回 2005年5月 はじめての「ブドウ畑へ!」
   第二回 2005年6月 副梢整理と誘引
   第三回 2005年7月 ブドウ畑について尋ねる
   第四回 2005年8月 色んな畑のブドウをテイスティング
   第五回 2005年9月 発酵、圧搾、そして収穫!
   第六回 2006年1月 アッサンブラージュと剪定
   第七回 2006年3月 接木&青空テイスティング
   第八回 2006年5月 芽かき&醸造現場テイスティング
   第九回 2006年6月 誘引、巻き蔓除去、先端カット、副梢除去、花カス除去
   第十回 2006年7月 酷暑の中の誘引、まきづる除去 パート2
   第十一回 2006年8月 畑巡り&ブドウテイスティング
   第十三回 2006年12月 『グラン・クリュ大沢(オオゾ)』へ
   第十四回 2007年2月 2006収穫ワインのアッサンブラージュ
   第十五回 2007年3月 冬季剪定&接木


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