西神中央付近の街を望む信濃リースリングの畑。その粒を噛むとマスカット香
  と心地よい温かいジュースが口の中に広がりました(^^;)




    ブドウ畑へ!  No.11


   収穫前の畑巡り&ブドウテイスティング!
   


  今回の目的はワインテイスティングではなく、ブドウテイスティングです。

  ワインの質は、80〜90%畑でのブドウの質で決まると言われています。

  またワインは、そのブドウの畑が変わればワインの質も変わると言われ
  ます。

  ここまでなら一般にワインの好きな方ならイメージできるでしょう。

  じゃあ、そのブドウはどんな味がして、隣の畑のブドウとどう味が違うの?
  という好奇心や想像力は、日常生活の中で知ることが出来ませんし
  よほどマニアックな人でない限り、そういうイメージすらしないはずです。


  僕もそうでした。「ワインは畑で決まる。良いワインは良いブドウから
  できる」と言うことは頭では知っていましたが、神戸ワインと出会う前は
  ブドウをテイスティングしブドウ自体の味を体感できる、それも畑ごとに
  比較するチャンスがあることをイメージできませんでした。

  
  でも、神戸ワインは、それを具体的に想像させ、そして体感させて  
  くれたのです!

  神戸ワインスタッフの皆様に大感謝!


  

  さて今日の舞台は、いつもの農業公園の区画内ではありません。

  神戸ワインの車で約10分ぐらい南に下った平野地区のシャルドネ、
  信濃リースリング、メルローの畑に向かいます。

  道中、栽培担当の安居さんにお話を聞きながら神戸西区の丘陵地を
  走ります。田園風景は強い日差しの中でもとても穏やかでした。


  「シャルドネは普段ならセイベルの一週間後の収穫なので、もう始まって
  もおかしくないんですが、今年は9月に入ってからになりそうです。

  果物全体の収穫が遅れているみたいですね。長く続いた梅雨のせいで
  実が大きくなっています。今は日照りは続いていますが、例年に
  比べるとまだ追いついていない状態ですね」


  「今の時期で4日に一度程度同じ畑を見に行っていますが、毎日どこか
  しらの畑のブドウを食べています(笑)。糖度や色素など化学的な検査も
  しますが、旨みの部分も含めて収穫の最終判断には我々の感覚を優先
  させて決定します。」


  契約農家からブドウを買い取る時も、この検査結果によって価格が
  決定するそうです。

  量ではなく、あくまでも質の良いブドウを作ることで農家の方も
  潤っていく、そういうシステムです。

  ただ質の良いブドウをつくることは作業的には非常にきつい仕事でも
  あるので、質を向上させるために神戸ワイン、農協、県、市が一貫して
  指導する方針は、必ずしも農家の方に受け入れられていないとのこと。


  その契約農家も世代交代の時期に来ているそうで、それが上手く
  進んでいる農家と、そうでない農家もはっきりと分かれているようです。


  車は目的地・・・平野地区のシャルドネの畑に向かって走っています。

  広がる田園風景は、イタリアの美しいブドウ畑の丘陵地を彷彿とさせ
  ます。のどかで時間が止まったかのような、人間が支配する、それでも
  自然と共存しあう力強い農業の風景です。


  ブドウ畑の区画に入ったところで、契約農家のおじさんと偶然に出くわし
  ました。なにやら言葉を交わした後で安居さんが車を出しながら

  「このまま収穫がずれ込むと、アルバイトの学生を見込めなくなるので
  困ってられました。早く収穫してしまいたい様子ですね。農家の方と
  我々の思惑とは食い違うことがしばしばあります」

  とにこやかに話してくださいました。

  さて、シャルドネの畑に到着です。

  

  先に到着していた末松さんとヴィーテ・イタリアのお客様がいらっしゃって
  最後に垣根仕立てのブドウの木陰に座って待っていてくださった
  三田村先生が腰を上げて「じゃ、始めましょう!」と元気の良い声を
  あげて下さいました。

  末松さんが今日のテーマを述べられます。


  「この区域には3つのブドウ畑がありまして、我々が独自に等級を
  つけています。今日のテーマは、この3つの畑のブドウを食べ歩いて
  いただいて、どの畑が一番良い畑かを当てることです!」


  「うぉ〜、そりゃ〜、面白そう!!」
  思わず声を上げてしまった僕(^^;)


  末松さんが続けます。

  「あと、ブドウのテイスティングで気をつけていただきたいのは
  我々のブドウの仕立ては午前中の光を受ける列(日面=ひおもて)と
  午後の光を浴びる列(日裏=ひうら)が平行に並んだ格好になって
  いますので、同じ樹でもどちらが美味しく感じるかにも注意してください。


  それと、一つのブドウの房の中でも、場所によって美味しさが変わります。


  ブドウの養分は房の上腕部(註:両翼といった方が分かりやすいかな)
  から先に向かって行きますので、先端よりも上部のほうが甘く感じるはず
  です。その点にも注意してください。


  また、主幹から近いところの房はまだ十分に糖分を蓄積していませんので
  枝の先端の方の房から粒を取って食べてください。


  あと面白い比較では、同じ場所の房でも、葉の数が多い茎からの房と
  葉の数が少ない茎の房とでも味が違います。

  葉の数が多い方が日光の影響を受けているはずですので、甘く感じる
  はずです。ここにも注意して食べてみてください。」


  ん〜〜、随分と注意点があったので、まとめて見ましょう!

  1.畑ごとのブドウの相対的な味で一番良い畑を選ぶ。

  2.日面と日裏でのブドウを比較テイスティングしてみる。

  3.房の部分、上部と先端の味の違いを見てみる。

  4.葉の多い枝の房と少ない枝の房で味比べをしてみる。

  

 
1は最後にふれることにして2から見ていきましょう。


  
2.日面と日裏でのブドウを比較テイスティングしてみる。

  これは驚くほど違うことが分かりました!日面が圧倒的に美味しい!

  なぜかと言うと、夜の温度が下がった状態で浴びる朝日の太陽光線と
  午後の温度が上がりきった状態で浴びる午後の太陽光線ではまるで
  質が違うからということでした。

  朝に太陽が当たるということは、朝露などの湿気を取る働きが
  ありますし、真夏の午後の暑い状態で直射を浴びるということは
  極度のストレス(=ブドウの樹にとっては働きすぎる状態でしょうか)
  を与えます。

   だから、味わってみると酸と甘さ、そして香りのバランスが日面
  のブドウがいいのです。日裏は、少しぼやけた印象でした。


   ← シャルドネの房


  3.房の上部と先端の粒の味の違い

  これも末松さんが予告したとおり房の上部の粒の方が美味しい!

  ここで「美味しい」について少し解説しますが、酸味、甘味、香り、旨み
  余韻、余韻の香り・・・このすべての要素を総合的に見て「美味しさ」
  を判断しています。



  繰り返しますが枝を通った栄養素は、まずはブドウの房の両翼部分を
  通過して先端に行きます。つまり栄養素は常に両翼の広がった部分を
  通っている。

  だから上部の房の方が甘味が強く感じ、美味しく感じる。もちろん、香り
  または皮の収斂味の違いもあります。

  先端部の粒はやや薄い印象です。

  スーパーで買えるデラウェアででも試してみてください。顕著に分かる
  はずです。


  4.葉の多い枝の房と少ない枝の房ではどっちが美味しい?

  これは葉の多い枝でした!

  「多いとその分その枝が余計なエネルギーを消費してしまうから
  少ない方が美味しいんじゃないの?」

  という疑問もあるでしょう?

  でも神戸ワインは、葉の多い枝もちゃんとコントロールした上で
  蔓の先端を切っていますので、「多すぎる」ということはなく、従って
  光合成と房への栄養循環のバランスも経験からすべて計算して
  います。

  葉の数はその年の気候や樹齢などのバランスから通常
  16枚にコントロールされていますが、ところどころ次の年用の蔓を
  伸ばしているので、そこに房が出来てしまうのです。

  そう、ちょうど房の上部と先端部の味の濃さが全然違ったのと
  同じくらいに葉の数による房の美味しさの違いも顕著でした。


  途中末松さんが、「種の色にも注目してください。未熟な粒には
  まだ緑色を残した種がありますし、熟れたブドウ果には茶褐色の
  種がありますよ!」

   

  右が良く熟れた粒からの種。左が色が薄くて緑色の未熟果の種です。
  良く分かるでしょ?
      

  さて、最後は1.どの畑が一番優れた畑か?です。

  三つの畑は、それぞれ「33」、「34」、「35」と番号がつけられて
  いて、契約農家の方が協同で運営しつつ、各仕立ての列によって
  担当農家が違うそうです。


  僕のテイスティングの印象を書きましょう。

  「33」 全体的に味が良く乗っている。食感がしっかりしており
       酸と甘味、そして香りのバランスが良い。


  「34」 33よりも少し味全体が薄い印象。だが、甘味、あるいは
      果肉の旨みはある。


  「35」 34よりもさらに味が薄くなる。全体に弱い。味の余韻には
      酸のつっぱり、渋みが際立ち、食感のまだまだ硬い、青い
      果粒が多い。
  
  
  最後に挙手をして、どの畑が秀逸かを当てっこしました。

  その結果は・・・・






  見事にハズレ!(^^;)
  答えは、「34」でした。チャンチャン・・・・


  だって、だって、美味しかったんだもん!!33が!!

  
  車より左が「33」、右が「34」、そして写真を撮っている場所が「35」


  ということで、お後がよろしいようで・・・・、シャルドネの畑とは
  さよなら!いざ、信濃リースリング、メルローの畑へ!


  

  ここでは、先ほどのようなワークショップはなしでブドウを食べて
  いきます。

  先ほどのシャルドネも白ブドウ、こちらの信濃リースリングも白ブドウ
  なので、その味わいの違いが歴然と分かります。

  「ブドウの味が違うからワインの味が違うんだ!!」

  って、当たり前のことを体感するんです!(^^;)

  信濃リースリングの特徴は、何と言ってもその芳香の素晴らしさ。
  まだまだ熟れ切ってはいませんが、鼻腔にしっかりとマスカット香を
  刻印していきます。

  甘くて奥行きのある豊かな香りが炸裂する割には、果肉がまだ硬く
  しかも酸が非常にシャープでした。

  リースリング同様に、この時期に雨に降られるともうお仕舞い!
  一両日中に収穫しないとすぐに腐ってしまうことのこと。そう、とっても
  皮が薄いんですよね、特にリースリングは!

   信濃リースリング


  次は、信濃リースリングの畑と道を隔てて隣接しているメルローの
  畑です。

  食べていると概してとても甘く、食用として売るなら十分だろうと
  思うわけですが、三田村先生はきっぱりと


   「食用なら十分だよ。でもワインはまだまだ!」


  力強くにこやかにおっしゃいます。

  
  確かに、現状で皮を良く噛んでみると渋さの収斂味がすごいですし、
  甘さは十分でも香りがイマイチ「野菜香」的なんですね。

  未熟果のメルローやカベルネが引きずる典型的な香りです。この場合は
  ネガティブに考えるべきなのでしょう。


   

  上の写真はシャルドネなんですよ。晩腐病に冒されています。
  今年は梅雨が長かったせいで、こういう果実を多く見かけました。
  
  末松さんも「6月〜7月の長雨の影響でしょうね・・・」とちょっと
  残念そうです。


   この二つの粒の比較・・・何だと思います?
 
  例年の果粒の大きさが手前。史上最高のビッグヴィンテージだった
  去年2005年の果粒の大きさが向こう側ぐらい。

  そう!良いヴィンテージと言うのは水分が少なくて粒が小さい年を
  意味するんですよね。つまり、果肉を含めた全体の体積に対して
  皮の比率が高い。

  皮はワインの香り、酸、色素、タンニンの蓄積場所ですから、つまりは
  小さい粒ほどエキス分の高いワインが出来るというわけです。


  さて、畑での食べ歩きを終えて神戸ワインに帰ります。

  直射日光のとてもきつい日照りでしたが、疲労感はほとんどありません
  でした。おそらく食べ続けたブドウの水分と酸味、そして甘味が程よい
  エネルギー源になったのではないかと思います(^^)


  神戸ワインに戻ってからはヴィーテ・イタリアのためにご提供いただいて
  いますのカベルネ・ソーヴィニョンのラインで少しだけ作業をしました。

  房周辺の葉をもぎ落として、風通しを良くし、カベルネの房に太陽光を
  当てるのです。

  末松さん曰く

  「カベルネ・ソーヴィニヨンは直光着色型で直接太陽の光を
  あてることにより赤ワイン用ぶどうとしての赤色色素が
  増します。


  メルローや生食用ぶどうのピオーネといったものが散光着色型で
  直接あたらなくてもしっかり色はきます。ただ、あてないより
  太陽の光をあてるように除葉をすればもっと旨味は増すと思い
  ます。



  この点だけをとってもカベルネ・ソーヴィニョンがメルローよりも耕作に手間が
  かかるブドウである事が分かります。


  それにしても・・・
  カベルネの畑を見て愕然としました。というのも、その前のメルローは
  もうすぐ完熟状態にあるのに、カベルネのブドウちゃんときたら、色づき
  はしているものの、まだまだ青臭く、食べられたモンじゃない!!


  今回は、シャル畑でドネ、メルロー、信濃リースリング、そしてカベルネ・ソー
  ヴィニョンのブドウを食べて周りました。


  ブドウは紛れもなく畑の上で成長し、その品種独自の成長スピードを
  その年の天候の具合と共に維持しながら、自らの味覚的個性を十二分に
  発揮していました。

  
  昨年のビッグヴィンテージの出来を10として、平年の平均的な出来を5と
  すると今年のブドウの出来は現在7〜8ぐらいということですので、また今後
  醸造されるワインへの期待は膨らみます!


  どうかこのまま雨よ、降らないで!!
  そう祈らずにはおれない時期です。皆で照る照る坊主をつくりましょう!!
  


  さて、ご紹介が遅れました。
  神戸ワイン様のご好意により、カベルネ・ソーヴィニョンの畑の一列を
  研修に使わせていただいております。
 
  

  次回、あなたはどのブドウの樹の担当になるでしょうか?(^^)
  これまでの参加者の方にブドウの樹一本一本の名前を募集して決めて
  いただいています。ご紹介しましょう!

  signori e signore!! Ecco al Voi !!

                           Pantani                   Timbro Caro

          
          Verdi                    Tachis

          
        Valentini                  Vivaldi

          
        Scarlatti                   Tesoro

          
        Puccini                   Caravaggio

          
      tintorettto                    Da Vinci

          
       Fellini                       De Sica

          
         Miani                   il vino e' bello

  
        Veronelli

  これからもこの樹たちの成長を追い続けます!


  次回は、待望の「収穫&発酵」です。お楽しみに!




    次回開催はコチラをご覧ください。


   
  「ブドウ畑へ!」全レポート
   第一回 2005年5月 はじめての「ブドウ畑へ!」
   第二回 2005年6月 副梢整理と誘引
   第三回 2005年7月 ブドウ畑について尋ねる
   第四回 2005年8月 色んな畑のブドウをテイスティング
   第五回 2005年9月 発酵、圧搾、そして収穫!
   第六回 2006年1月 アッサンブラージュと剪定
   第七回 2006年3月 接木&青空テイスティング
   第八回 2006年5月 芽かき&醸造現場テイスティング
   第九回 2006年6月 誘引、巻き蔓除去、先端カット、副梢除去、花カス除去
   第十回 2006年7月 酷暑の中の誘引、まきづる除去 パート2
   第十一回 2006年8月 畑巡り&ブドウテイスティング
   第十三回 2006年12月 『グラン・クリュ大沢(オオゾ)』へ
   第十四回 2007年2月 2006収穫ワインのアッサンブラージュ
   第十五回 2007年3月 冬季剪定&接木


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