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ワインのイタリア語講座




  Generoso  (形容詞)  アルコール感だけの・・・
     ジェネローゾ


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 イタリア語を勉強している方ならこの言葉が

 「寛大な」「おおらかな」を表す形容詞だということを知って
 いるはずです。

 小学館の伊和辞典を見ても「心の広い」とか「度量の大きい」
 とか、とてもよい意味で書かれています。

 un uomo generoso   ウヌオーモ・ジェネローゾ

 「おおらかな人」

 となります。

 そしてその項目の下の方、つまり意味としては頻度の低い使われ方
 を見ていくて、出てきます。


  vino generoso ヴィーノ・ジェネローゾ

 意味は、「コクのあるぶどう酒」。

 こちらもポシティブな意味ですね。何だか美味しそうです。


 でも、僕が感じている generoso ジェネローゾの意味とは実は
 違います。

 小学館の辞書は初版が80年代中ごろ(ちょうど僕がイタリア語
 を習いだした頃です)、内容はガルザンティというイタリアの
 辞書をベースにしています。なので、内容的には、60年代の
 ものを訳されています。

 60年代といえば、まだイタリアワインが眠っている頃です(笑)。

 ガイアやサッシカイアが起きだした頃です(笑)。それも後半。


 では、白水社のイタリア料理用語辞典を見てみましょう!

  vino generoso   「コクのあるワイン」


 ありゃ・・。なんだ?
 これ単純に伊和辞典を転用しただけ?



 ならば、いつものヴェロネッリ御大に登場いただきましょう。


 【generoso】
 di un vino, solitamente alcolico, oltre ad essere franco,
 e'caldo e vigoroso.


 通常、アルコールのしっかりしたワインを言う。素直(farnco参照)で
 あるだけでなく、アルコールの熱さがあり(caldo、alcolico参照
 活力のあるワイン。
 


 ふむ。

 これを見ても、ポシティブな意味のように思われます。


 「アルコールがしっかり」 「活力のあるワイン」そして「熱い」
 とある。肉厚な感じのワインのことでしょうか。


 でも、僕の中ではどうもしっくり来ないんです。。

 なぜかというと、ワイン生産者がこのジェネローゾを言うとき
 必ず否定的な意味で言うからです。

 例えば・・・・

 ヴェネト州の代表的白ワインであるソアーヴェ・クラッシコ地区の 
 リーダー的存在レオニルド・ピエロパン氏です。

 彼には、昨年メルマガ「エモーション!」にご登場いただき、
 ソアーヴェ・クラッシコの現状や歴史などについて語っていただき
 ました。

 その中で彼はこの generoso を以下のような文脈で話していま
 す。

 引用しましょう。

 il terreno di pianura puo' dare solo un vino generoso
 perche' il mosto e' diluito.


 これは、丘陵地のクラッシコ地域が生産量を抑えることによって
 質の高いワインを生むのに対して、平野部のソアーヴェは
 モスト(発酵前の葡萄ジュース)が薄くて、generoso ジェネローゾ
 なワインしかできない。

 というコメントです。この場合のジェネローゾは明らかにネガティブ
 な表現です。

 

 ここで僕が思うのは、このジェネローゾというワインの味わいを表現
 する言葉のニュアンスが、この数十年間で大きく変貌してしまった
 のではないか、ということです。

 30年以上前のワインはほとんどが大量生産系ワインでした。

 しかも醸造技術も今ほどに発展していません。ということは
 30年以上前のワインは、酸が立っているのが当たり前で
 アルコールによって和らげられる酸味と、またアルコールそのもの
 の甘みがとてもポジティブに受け入れられていた、と考えられない
 でしょうか。

 だから ジェネローゾなワイン、つまりアルコールだけがしっかり
 したワインが、「コクのあるワイン」と評価されてしまった。

 (また南イタリアの酸のないアルコール分の高いワインが大量に
 混ぜられていたという事実もあります。)

 それが、近代醸造の幕開けによって、果実味の富んだ酸と
 アルコールが綺麗に共存しあう時代が来て、ジェネローゾな
 ワインが評価された時代が終焉した、とは考えられないでしょうか。

 これは、全くの僕の憶測に過ぎません。

 でも、現代的な良い意味でモダンなワインの作り手が表現する
 「ジェネローゾ」なワインとは、平地でできる薄い葡萄ジュースから
 出来る個性のない、退屈なワインである、とだけは言えそうです。



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